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キスの誤解が解けた。
少しずつ私の心が軽くなっていく。
由「で、そのキスマークはどうやって?」
愛「あ……うん。その…キスしたコト…力に知られたくなくって。で、祐に『言わないで』ってお願いしたの。そしたら、その代わりって…。それで…その……力と今日もえっちできるならしてみたらって…その……言われて…」
あんなものをあんな場所につけられた私は大きく動揺した。
えっちなんかできるわけない。
その罪悪感で私は力の傍にいるだけでも不安になってしまった。
由「…はぁー…なるほど。うまい具合に仕組んだね。まぁ、そりゃぁ、そんなもの力が見たらどうなるか検討つくってもんよ。あんたが隠し通そうとすると絶対にギクシャクもしていくだろうし…。見つかったら更に今度はそのキスのこともあんたが暴露するかもしんないんだから…思うつぼだね。」
私の一番の不安。
それはそれを知った力が逆上して祐をどうにかしてしまうことだった。
選手権を控えてこれまで頑張ってきたのに、それが原因で出場停止にでもなってしまったら―……
私のせいで彼の夢を壊したくない。
だから余計に言えなかった。
由「けどね。言わない方が力もツラいと思うんだ。言いにくいことだけどね。あいつはさ、ずっとあんたの傍であんたを見守ってきたんだよ。祐のことだって、あんたが祐を嫌いになれないことくらいは分かってたはずだよ?祐を責めたとしても、あんたを責めることなんて力はできない。そんなの元から覚悟の上で付き合ってんだろうし。もっとさ、力のコト、信じてあげてもいいんじゃないの?」
愛「…信じる……?」
祐「愛のこと信じたいはずだよ?隠してたら信用できるもんもできないよ。」
彼を信じてる。
もっと信じたい。
でも、こんな私を力は信用してくれるのだろうか。
今回のこと。
例え、信じてくれたとしても彼を苦しませることになるんじゃないだろうか。
表面だって許してくれたとしても、あんなこと許されるはずがない。
それはどこかで何かのカタチで出てくるかもしれない。
もし、それがアノトキだったら――…
私は彼とのえっちを感じることができなくなる?
愛「…あ…あのね、由利ちゃん。その……もし、あのキスマーク見られたら……力、すごく嫌な気すると思うの。そしたら…その…」
由「…あぁ……そっか。そっちの心配ね。まぁ、力のことだからまた激しいんでしょ?」
愛「…ん……その……まぁ…」
その行為までも見透かされているようで何だか恥ずかしい。
由「まぁね。けど、あんなもん、そのうち消えるからさ。ん。分かった!じゃぁ今日は私と寝よう。」
愛「え?」
由「私と寝れば、とりあえず今夜はなんとか回避できるわけだし?時間が経てばそのうち落ちつくからさ。」
愛「でも由利ちゃん居なくなったら…。それに、一緒に寝なかったら、力、機嫌悪くならない?」
私と過ごす為にせっかく帰省してくれている彼が納得してくれるか不安だった。
由「まぁ、多少は…。けど、一晩置けば冷静になるでしょ。それにさ、たまにはあっちもお休みした方がいいんじゃない?」
由利ちゃんは悪戯な表情を私に向けた。
GW中にえっちをいっぱいしていたことが全部バレているみたいで恥ずかしくて仕方がない。
由「でも、まぁ、その前にちゃんと話はしようよ。傍に居てあげるからさ。」
由利ちゃんがいてくれるなら、ちゃんと言えるかもしれない。
そんな気がした。
愛「…うん。頑張ってみる……」
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