恋の策略

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西野は水月が祐にキスされて自分の気持ちがよく分からなくなっているのを矯正したという。 祐の罠にまんまとハメられた水月。 真「水月ちゃん、力のこと好きだから言えなかったんだよね?」 愛「…うん。好きだから……そんなの……知られたくなかった…」 どうしていいか分からず悩んでいたのは俺を想うがあまりのことだった。 そう思うと、俺は彼女を抱きしめずにはいられなかった。 愛「…つ……力?」 ソファを立ち上がると俺は彼女の隣へ座って彼女を抱き締めた。 力「…ひとりで悩んで……ホント、バカだよ……なんで言わねーんだよっ」 愛「だって…」 力「…だってじゃねーだろ……」 …っんとに、コイツは……いつも抱え込む。 ずっと近くにいたからこそ彼女の性格は分かっていた。 分かっていたつもりなのに、俺は…… 力「…ごめんな……ツラかったよな…」 俺は彼女を更にチカラを加えて抱きしめた。 愛「ううん……嫌な思いさせたのは私の方……ごめんね…」 ようやく彼女はその気持ちを開放し、俺もまた納得した。 由「まぁねぇ。そんなの言えるわけないってもんよ。上っ面、許した顔してたって、あっちのトキに嫉妬心丸出しにして、愛をメチャクチャにするだろうと思えばさぁ、そりゃ愛だって…ねぇ…」 せっかくのいい雰囲気を西野は一気にぶち壊す。 つーか、あっちのトキって……まさか……? 力「…み…水月っ!」 どうやらその表情から水月が俺のこの嫉妬深さを西野にバラしたらしい。 力「…おまえなぁ……西野になんつーことを…」 愛「…ご…ごめん……だって、たまにちょっと……怖いトキもあったから…」 (…え?俺、水月に怖いって思わせてた?) 力「…ご…ごめん……な…?」 愛「…ううん…えっと…大丈夫…」 力「…ホント……ごめんな?」 愛「私こそ、ごめん…ね。その……他の人とのキスに感じちゃって…。でもね。私は力とのキスがやっぱり好き。だって安心するんだもん。それにキモチイイから…」 衝撃過ぎる過激発言。 そして恥ずかしそうに俺を見るその彼女の表情に俺は完全KO。 力「…水月……」 キスしたい衝動に駆られた俺は彼女の頬を触れた。 そして彼女は俺に応えるように目を閉じた。 それはキスをしてもいいというサイン。 真「…いいなぁ……。あーいう台詞、俺も聞きてー…」 振り向くと、ソファーでじっと俺達のやり取りを見ている西野と真がいた。 由「あ?気にしないで!どうぞ?続けて続けて?」 西野がニヤニヤ笑いながら腕を組んで俺達の行為を観賞している!? (…つ…続けられっかー!!…っつーか、俺、またコイツらの存在を忘れてた…) 愛「…ごめん……また後で…だね?」 さっきまで泣いていた彼女がいつの間にか笑っていた。 俺は安堵した。 力「…おまえは笑ってる方が絶対にいいよ…」 俺は彼女の手をそっと握りしめた。 力「もうさ…俺から離れんな。」 愛「うんっ」
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