恋の策略

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由「だけどあんた、GW明けたらいなくなるんだよなぁ…」 真「大丈夫なのか?」 力「あぁ、それならもう手を打ってっから…」 愛「手?」 力「崎田が400やるってさ。」 愛「え?崎田クンが?」 真「え…崎田って、陸上部にいんの?」 力「そ。こいつんトコでハードルやってたんだけど、400に転向するってさ。走りがやってみてーって。で、顧問に聞いてオッケーなら明日から早速開始。で、俺、教える約束してっから。」 真「へー…あいつ、意外だなぁ。野球続けてるのかと思ってたよ。」 愛「そんなことないよ?崎田クン、運動神経凄くいいし、すっごく優しいよ?」 やけに水月が崎田を誉めている。 水月の中では崎田はどうやら良い印象らしい。 (けど、俺以外の男をこんな風に言ってるのって、なんつーか……なんだろっ…あんまりいい気がしないっつーか…) 由「愛…、あんま、崎田のこと誉めてっと、横でヤキモチ焼いてるヤツ、またアッチで爆発すっぞ?」 西野にまだ俺は見張られていたようだ。 完全に俺の心、見透かされている。 そして水月に視線を移すと、彼女は真っ赤な顔をしている。 愛「…あ……えっと…」 力「…し…しねーよっ。…ってか、そうじゃなくてさっ。水月、友達で……あー…『樹里』とかってヤツいる?」 愛「いるよ?…え?何で知ってんの?」 力「いや……崎田がその子狙ってるみたいでさ。けど、アイツ、めっちゃ奥手だろ?おまえ…協力してくんねーかなーって…」 すっかり忘れていた崎田からの要請。 愛「…あっ……そっかぁ……それで……なるほど……」 いきなり水月が一人で驚き何かに納得している。 力「ん……それって?」 愛「うん。なんかね、宿題の話してた時にね、私がレポート、その友達に見せてもらおっかなーって崎田クンに言ったんだけどね。一緒に聞きにいこうよって誘ったら、すごく焦っててね。なんか、いつもの崎田クンらしくなかったから…」 崎田は基本、感情をそこまで出すヤツじゃない。 その崎田が焦るとはよほどその子のことが気になっているんだろう。 力「そっか。」 愛「うん。でも、樹里も凄く奥手だよ?えっと…彼氏はいなかった気がする。」 力「そっか…じゃぁ、頼んでいいか?」 愛「うん。」 力「その代わりってワケじゃないけど、崎田がおまえを祐から守ってやるってさ。」 愛「え?崎田クンが?」 力「おまえが、毎日、部活行くトキに祐に荷物持っていかれて困ってるの見てて気になってたらしくってさ。まぁ、俺の400見て陸上始めたってのもあるけど、400を自分がすれば、祐とおまえの間のクッション役になれるとかって……まぁ、そんなトコ。」 真「マジか?崎田すげーな。いや、ホント、あいつすげーいいヤツだよ。俺も野球仲間だったけど、気が利くプレーするんだよ。俺、何度も助けられてるしさ。頼りになるからさ。」 力「そうなんだよな。だから、今回も多少はそういう気を利かせてくれたんだろうって俺は思ってる。」 愛「そっかぁ。じゃぁ…頼ろうかな…」
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