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真「ところで、おまえ、卒業したらどうするわけ?」
力「え…俺?…」
俺達はもう高校二年。
そろそろ将来についていろいろ考えないといけない時期がきていた。
力「おまえはどうするんだ?」
真「え?俺?俺は警察官の試験受けるよ。」
力「警察って……まさか……!?」
真「そ。由利との将来考えてるからさ、俺。」
西野の父親は警察だが、まさか同じ道をいくとかありえねぇ。
力「おまえ、ホント……なんつーか……すげーなぁ。西野の親に取り入るつもりってことだよな?」
真「おいおいっ!人聞き悪りーな。けど、由利の親父に俺、どうしても認めてもらいてーからさ…」
そう言って真はニカッと笑った。
俺には西野の良さはよく分からないが、それにしもて真は西野にベタ惚れだ。
警察になるっつーことは、やっぱりそれなりの覚悟をしてるってことだろう。
(真なりにイロイロと考えてんだな……)
力「そっか……頑張れよ。」
真「おうっ!で、力は?まぁ、おまえは頭いいしなぁ。そういや、中学んトキは大学行くとか言ってたっけ?」
力「あぁ。どうだろうな。まぁ、今はちょっとイロイロ考えねーといけねーコトあるから何とも言えねーんだけど…」
俺はとにかく早く水月の傍にいてやりたいと思っている。
何かあったらすぐに駆けつけてやれる場所。
水月にはやっぱり俺の傍でずっと笑ってて欲しい。
中学の頃、一緒にいたあの時のように……
真「…水月ちゃん……か?」
力「…そうだな……」
真「へぇ……なになに?まさかと思うけど、甲子園で優勝してプロとか…考えてるとか?」
プロへの道。
それは考えていないこともない。
だけど、そればっかりは自分で決めようがない。
基本、ドラフトで決められるわけだし。
けど、可能性があるのなら――
力「…それもいいかもな……」
真「…え?…マジかよ…」
力「まぁ、それが、一番早く俺があいつを幸せにしてやれる近道じゃないかって…」
ドラフトにかかるようにするためにはまず甲子園でそれなりの結果を残す必要があるだろう。
とにかくスカウトの目に止まらないと始まらない。
けど、野球はひとりでするものではない。
今の段階だと、さすがに俺ひとりのチカラではどうにもならない。
今年の選手権、俺はもちろん優勝を狙っている。
池川に入った理由のひとつとして、プロを目指していたということもある。
あの高校なら、甲子園でも名が知れているからサイアクでもスカウトの目にとまる可能性があるのでは?と考えた。
だが今は、俺の将来は水月が隣にいてこそ成り立つと思っている。
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