嫉妬

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真「だったら、今年、来年は気合入れてかからねーとなぁ。」 真も高校球児。 『甲子園』という言葉はやはり憧れなのだろう。 いきいきとした表情だ。 …プロか…… けど、プロの世界はそんなに甘いものじゃないんだよなぁ。 まぁでも、俺は純粋に野球を続けていけたらそれでも結構幸せなんだけど。 (…将来かぁ……ちゃんと考えねーとなぁ…) その時だった。 ………プルル……プルル… 旅館の電話の音が鳴り響いた。 力「あ……俺出るわ。」 そう言って俺はその受話器を取った。 (由「力?…私だけど……」) その電話の主はなんとさっき隣の部屋へ行った西野。 力「あれ?西野?どうした?」 (由「んー……やっぱ……愛…返すわ。」) 力「はぁ?返すって……えっ?どうした?何かあったのか?」 (由「ん、事情は愛から聞いて。とにかく、今から連れてくから……」) 用件を言うだけ言うと、西野は即行電話を切った。 真「どうした?」 力「…いや…なんだろな。よくわかんねぇ。」 真「さっきの、由利だったんだろ?何て?」 力「…いや、それがさ、水月を俺に返すって…」 真「えっ?じゃぁ、水月ちゃん、こっちで力と寝るってことだよな?」 (まぁ、そうなる……よな…) 俺としたら朗報。 だが、あの西野の声色からすると何かあったのは間違いなさそうだ。 まさか、西野とケンカでもしたのだろうか。 いや、それはない。 もしかして、何か水月の中でまだ吹っ切れていないことがあった…とか? もしあれ以上のことがあったとかとなると俺もさすがにまいる。 俺はかなり不安になった。 そんな俺の気持ちなどおかまいなしに真が、 真「まぁ、良かったじゃん、一緒に寝れるんだし。おまえがついててやった方が水月ちゃんも安心だってことじゃねーの?それに、一緒にってことは……また水月ちゃんにあんなこととか……イヒヒ……」 バッシーンッ!!! 俺は思わず真を頭を殴る。 真「いってぇー!」 力「だから想像すんなって!」
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