深まる絆

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愛「…おはよう……」 その声に俺の目が覚めた。 力「…水月……」 俺にその極上の笑顔を向けてくれているのは夢ではない。 力「…おはよう……早いな……?」 何度となく向かえる彼女との朝。 それなのに、俺は今日もそんな彼女にドキドキしてしまう。 俺はそっと彼女を抱きしめた。 愛「…あ……どうしたの?」 力「いや……俺、めちゃくちゃ今幸せだなー…って…」 愛「うん……私も幸せ……」 密着したカラダの温もりは嘘じゃない。 (…あぁ…現実なんだよなぁ…) そんな俺の『俺』も朝から絶好調。 考えてみれば、昨夜はあのまま二人して寝落ちてしまった。 このまま……というワケにはいかない俺は彼女に提案する。 力「…なぁ…水月……やろ?」 愛「え?」 何のことか分からないのか、彼女は頭を傾げた。 力「…おまえが欲しい……」 さすがに彼女も俺の気持ちが理解ったみたいでその頬を赤らめた。 力「…いいだろ?」 返事を待つまでもなく、俺は彼女の耳の中へ息を吹き入れると、そのまま舌で刺激を始めた。 愛「…んん……ハァ……でも、そんなに毎日してたら……ぁ…」 力「このくらいじゃ子供なんてできねーぞ?」 愛「…う……うん……ふぁ……ハァ…でも…」 力「『でも』…なんだよ?」 愛「…私……その……えっちなカラダになって…力が帰ったら…ぁ……その大丈夫かな…って…」 彼女はなぜかワケの分からない心配をしている。 だけど、別に『えっちなカラダ』になっても俺的には問題はない。 いや、待てよ? そんなエロいカラダになったら他の男が寄ってくるか? だとしても彼女は俺を裏切るようなことはしないはずだ。 力「だからヤリダメしておくんだよ。」 愛「…な…なにそれっ?」 力「…俺らって遠距離だろ?俺、これから甲子園に向かって練習がかなり厳しくなるからさ、なかなかおまえに会いに帰ってこれねーんだよな。それに、おまえだって6月に試合あんだろ?だからさ、嫌と言うほどおまえとの絆を深めてから帰りたいんだって。じゃないとお互い頑張れねーじゃん?」 『絆』とか調子のいい言葉使ってるけど、実際は水月を抱く為の口実。 『俺』を彼女の中に嫌というほど、刻み込んでおきたい。 俺という存在を忘れないように。 俺がおまえの『彼氏』だってことをカラダで覚えさせて、俺以外の男のことなんか考えられないようにして―― 愛「えっちで絆って……なんかヘンなの…」 力「俺はそうなんだって。っつーか、おまえは俺とヤるの嫌なのかよ?」 愛「…そういう…ワケじゃ……」 力「じゃぁ、続きやろ…」 愛「…あ……ちょ……力……ぁ……んんー…」 そして、俺達は朝から二人でその幸せなひとときを過ごしたのだった。
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