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家に着く少し手前、先輩が思い出したように言った。
翔「そういやさ、大泉…今日、絶好調だったぜ?やっぱクラス替えの影響って大きいな…ハハッツ…」
先輩に言われてその事実を思い出す。
(そうだ……祐と同じクラスになったんだ。明日から一緒なのか……あー……なんか新学期早々いろいろあり過ぎだよ……)
翔「で、席はどうなんだ?」
愛「………」
部活動での距離よりもどちらかといえば教室内での距離の方が近い。
それを思うとため息が出そうになる。
そんな私を見ていた先輩が、
翔「なるほどね……ご愁傷様ってとこか。」
愛「他人事だと思って……」
翔「他人事だし……ククッ……それより!クラスと言えば、おまえの兄貴、また同じクラスなんだけど…。全くまいったっつーか……」
ある意味、私にとったら朗報。
先輩を信用していないわけじゃないけど、いろんな意味で通じている方が私も安心できるからそのクラス替えは私にとってはかなり嬉しい。
翔「ん?なんかおまえ嬉しそうだな?」
愛「…そ…そうですか?…フフッ…」
翔「ったく……」
信号待ち。
自転車を止め二人で信号の色が変わるのを待つ。
ふと見ると先輩が髪をかき上げている。
そのサラッとした髪が信号の光に照らし出されて赤く染まり、驚くほどの色気を醸し出している。
(この人……黙っていたらカッコイイのに……)
そんな私に彼は気づき、
翔「…なんだよジッとみて。何?見とれてんの?」
!!?
愛「…見とれてません…って!」
翔「そっか?別に見とれてもいいぞ?」
そう言ってフッと笑う。
(…あぁ……完全にナルシストだ…この人…)
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