重大発言

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真「ただいまー!」 力「あー…疲れた…」 どこに行っていたのだろうか。 何故か二人は汗だくでタオルを首にかけ拭っている。 由「あんた達、何してたの?」 真「あぁ……ちょっと久しぶりにキャッチ……うぐぐ…」 力は何故かいきなり真クンの口を塞ぐ。 その後に続く言葉はきっと『キャッチボール』。 でも、それを力は私たちに言いたくなさそうだ。 力「…言わなくていいから……」 ただのキャッチボール。 なのに私に隠す意味が分からない。 由「そんな口止めするようなことじゃないでしょ?」 力「あ……まぁ、ん…そうなんだけどさ…」 由「隠し事?なんでそんなこと隠す必要があるのよ?知られたらいけないことでもあんの?」 力「別にねーし…」 由「やっぱやましいことがあるんでしょ?あんたのことだから…」 力「は?だからねーって言ってんだろっ!」 由「どうだか……」 そんな由利ちゃんと力の何気ない会話。 (この二人って小学生の頃から見てるけど、凄く歯切れのいい会話してるなぁ…) 当時、私は二人が凄くお似合いだと思っていた。 由利ちゃんと力。 もしかしたら、二人が付き合ってた方がうまくいっていたのかも。 それに、私は知らないことばかりだから、力はもしかしたらちょっと面倒くさいのかもしれない。 真「…あれ?水月ちゃん…元気ないな?どうしたー?」 いつの間にか、真クンが私を心配した顔で覗き込んでいた。 (あ……心配かけちゃダメだよね……) 愛「ううん。なんでもないよ。」 そう言って平気なフリをしたものの、力もまた私に近づいてきて、 力「どうした?水月?」 知らず知らずのうちに私の中で彼に対する独占欲が生まれていた。 (誰にも……渡したくないよ……) そして、気づいた時には私は彼の背中に腕を回していた。 力「えっ!?…水月?どうしたんだよ?」 愛「なんでもない……」 力「なんでもないって……」 彼の胸にペタリと頬を擦り付けたその時、私の視界に突如、由利ちゃんの姿が見えた。 (…由利ちゃんにも渡したくないよ…) 真「由利……おまえ、水月ちゃんに何かしたんだろ?」 由「べっつにー……」 そう言って由利ちゃんはフッと笑った。 力「…どうしたんだよ?ん?」 頭上から私を覗き込む彼の方へと私は視線をやった。 視線の先のその彼が私を見ている。 (…力……私が誰よりも好きなんだから……だから…っ…) 愛「…私、力のコドモ生むっ」
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