69人が本棚に入れています
本棚に追加
by 力
由「まぁ、粗治療だったけど、あんなもんでしょ?」
水月の学校へ到着した俺たち。
今、水月は二人の入場許可をもらいに行っている。
そして、俺たちはその学校の正門付近で話をしながら彼女が戻ってくるのを待っていた。
力「西野、いろいろありがとな。けど、おまえさぁ、水月に余計なことまで吹き込みすぎだって。」
水月を西野と二人っきりにしたことがかえって裏目に出てしまったこともあったりと、その後、俺は彼女にフォローするのが大変だった。
由「そう?けど、これで愛のあんたに対する気持ちは完全に固まったと思うけど?」
西野の粗治療は確かに効果抜群だった。
あの水月が俺にヤキモチを焼いて、人前だと言うのに俺のことを『好き』だとか、俺の『コドモ生む』など言うとはさすがに驚いた。
力「まぁ…それは有難いと思うよ。西野のおかげだよ。あんな風に水月が言ってくれるとかさ…」
由「…楽勝よ。愛の性格なんて私はあんたよりは理解ってるからね。」
力「あー…ありがとうございました、西野様。」
由「まぁ、GW明けたら、あんたもいないわけだし?祐はもっと凄い攻撃を愛に仕掛けてくるかもしんないからね。」
西野のおかげもあって、休暇の間に彼女の俺に対する想いはかなり高まったと俺も思う。
だが、西野が言うように休みが終わった後のことを考えると不安は尽きない。
由「とりあえず、ココでもできるだけ手を打って帰らないとね。」
これから何か仕掛けようとしているのだろう。
西野の目は真剣だ。
(あぁ……西野には……ホント、頭が上がんねーわ…)
つくづく俺は西野が女で良かったと思う。
もし、西野が男で水月のことを想っていたら、俺は絶対に太刀打ちできない相手になっていたと思う。
あの祐なんかよりも俺にとったら恐るべき存在。
力「ホント、おまえって女にしておくにはもったいねーよな。けど、俺的には女で良かったと思うわ。」
由「何よ、それ?」
西野の鋭い視線が俺に突き刺さる。
力「い…いや……あー……頼りになるなーって…」
それにしてもホントに西野は怖い。
だが、本当に頼りになる。
泣いて手が付けられなかった水月を一気に笑顔にさせた。
そして、その彼女の気持ちを俺の方へと更に深い想いで向かわせ――
西野の存在は水月にとって絶対的なのは今も昔も変わらない。
やっぱり、来てもらって良かった。
由「けど、あんたもちゃんと考えてたんだね。愛のこと。」
力「え?」
由「あんた、ちゃんと『避妊』について…愛に説明してくれたんだよね?」
力「はぁ?」
そういえば、そんなことも水月は言っていた。
だが、彼女はまだ『避妊』についての知識は完全に理解していない。
そのうち機会をみつけて教えればいいと思うが、今は時期じゃない。
それにそれは俺がきっちりとやってればいいこと。
力「心配いらねーって。」
最初のコメントを投稿しよう!