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『勘違い』?
どこが勘違いだと言うのだろうか。
俺達がどれだけお互いを欲しているのか祐は知らない。
俺に抱かれている時に見せる彼女の瞳――
あんなに乱れ悶えている彼女がいるなんて祐は知らないだろう。
力「あのさ、おまえ、俺達を甘く見過ぎてんじゃね?」
もうこうなったら水月とエロいことしてるのを見せてやりたいくらいだ。
『勘違い』かどうか、その目で確かめりゃきっと理解るはず。
まぁ、もちろん水月は嫌がるだろうけど。
祐「甘く見過ぎてんのはどっちだろうね?」
突如見せたその祐の不敵な笑みに俺は思わずたじろいだ。
力「…どっちって…」
祐「…聞いたんだろ?愛梨に。愛梨さ、俺のキスにめちゃくちゃ感じてたよ。…知らなかったよ。愛梨ってあんな声出して感じるんだな?気持ち良さそうな目して俺を見て…最後は俺に寄りかかってきたよ……」
水月からは聞いていたその事実。
だが、それはあまりにも生々しい現実。
しかも、そのことを祐の口から、そういったリアルな言葉で聞くと、さすがの俺も動揺してしまった。
力「…祐……おまえ、なんであんなコトすんだよ?水月の気持ち…分かってんだろ?」
殴りたい気持ちを抑え、俺は声を振り絞りながら祐に言った。
祐「まぁ、俺がちゃんと掴まえていれば、おまえに靡くことなんてなかったんだろうけど…」
確かにそれはあるかもしれない。
けど、現実は違う。
力「けどな、結局は結果なんだよ。水月は俺を選んだ。今は水月は『俺の女』なんだよっ。これが現実なんだよっ!」
水月が俺の傍にいる……それが現実。
それが全てだ。
祐「…結果…か…。なら尚更、愛梨は『俺の女』なんだってこと、理解ってもらわないとな。早く諦めておいてもらった方がお互い傷つかなくていいと思うけど?」
力「…は?」
祐は一体何を言っているのだろうか。
その意味が全く俺には理解できなかった。
祐「もしかして、あのこと……聞いてない?」
力「あのこと?…は?何のことだよ?」
いくら考えてもその祐の言っている意味が俺には理解できない。
もしかして、水月はまだ俺に隠し事をしているのだろうか。
俺に言えないようなことがまだあるというのか!?
またしても襲われる不安――
そして、その不安に追い討ちをかけるように祐がその衝撃的な言葉を放った。
祐「…力……愛梨はね…俺の『婚約者』なんだよ。」
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