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力「…祐……頼みがある…」
祐「ん?頼みって?」
力「俺は必ずおまえと戦う場面を設けるよ。けど、このことは当分、水月には黙っててくれ。」
俺にもやらなければならないことがある。
陸上をする為には野球をこの夏でひとまず切り上げる必要がある。
皆を納得させる結果を残さないと辞めようにも辞められない。
それに、祐と戦うために俺が野球を辞めるということを水月が知ってしまったら、彼女はきっと自分を責めるだろう。
更に、何故、俺がその道を選んだのかと言うことが彼女にバレてしまえば彼女は大きく傷つく。
祐「…いいよ。愛梨の為なんだろ?黙っててあげるよ。」
その言葉が本当なのか分からない。
だが、それでも今はその祐の言葉を信じるしかない。
力「勝負は三年の夏のインターハイ……それでいいよな?」
祐の誕生日よりもおそらくインターハイが後。
エントリーのことなども考えると、今からだと公的に勝負できる瞬間は来年の夏ということになる。
祐「分かってるよ。力がその気になってくれたんだ。婚約発表はその時まで延ばしてもらうから…クスッ…」
完全に俺から水月を奪い返すつもりなのだろう。
だけど、俺は絶対に彼女を譲るつもりはない。
力「必ずおまえと同じ舞台に俺は上がる。そして正々堂々と戦ってやるから待ってろ!」
必ず…俺は勝つ!!
そして、そのクソジジイ達の決めた勝手な婚約なんかは解消させて、祐にも水月を諦めさせる。
祐「そうこなくちゃ。あぁ、なんか楽しみになってきたよ。今回はあの中学の時の勝手に力が決めた勝負とは違うからな。あのインターハイが舞台だもんね。ん、俺が言い出したコトでもあるし。約束は守るよ。」
言い出したのは祐。
そして受けて立つのは俺。
約束は絶対に守ってもらわないと困る。
力「当たり前だ!」
力「でもね、勝つのは俺と思うよ?ん……力はさ、愛梨と別れるのがツラくならないように、今から準備してた方がいいと思うけどな…クスッ…」
それは祐の宣戦布告。
力「上等だ!そのセリフそっくりそのまま返してやるよ。」
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