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振り返るとそこには休憩から帰ってきた翔先輩がいた。
沙「あれ?もう帰ってきたんですか?もっとゆっくりしてくればいいのにー…」
おもむろに嫌そうな顔を翔先輩に向ける沙希ちゃん。
翔「休憩しててもつまんねーからなぁ。俺は愛梨と楽しむために部活きてるわけだし?ん? ウサギかよ?」
私のそのヘアチェンジに気がついただろう先輩。
物珍しそうに見ながらこちらにやってくると、私の髪の毛を引っ張った。
愛「…ちょ…先輩…」
翔「なんだぁ、それ。おまえめっちゃ可愛い頭してんじゃねーかよ?食っちまいたいなぁ…」
そう言って先輩はニヤニヤしながら私のそのウサギの耳のようなヘアを弄ぶ。
愛「…やめて下さいって…」
翔「マジ美味そう…」
そう言ったかと思うと、その括った髪をあろうことか唇に挟んだ。
愛「な…何してるんですか!」
沙「…サイアク……」
翔「そっかぁ?俺はこれサイコーだと思うけどなぁ…」
沙「は?翔先輩がサイアクなんですけど?!」
翔「あ…俺のこと?なんだ。俺は沙希は愛梨のコトをサイアクって言ってんのかと思ったわー…ハハッ…」
そう言って挑発的な視線を翔先輩は沙希ちゃんに送ると沙希ちゃんはワナワナと震え始めた。
翔「それにしても、愛梨。おまえは今日も可愛いよな?ん、そろそろ藤沢と別れて俺と付き合う気にならねぇ?」
翔先輩とは長いからもうそれが冗談ということくらい私には分かる。
相手にしていたらどんどん調子に乗っていってしまうということもあり、私は無視を続けることにした。
沙「しつこいですよ?水月先輩は別れませんて。それに、藤沢先輩ってケンカっ早いって有名なんですよ?」
翔「は?んなコト俺には知ったこっちゃねーけど?」
沙「知ったことじゃないって…。あのですねー!藤沢先輩と水月先輩ってもう翔先輩になんて入れないような仲なんですから!だって、あんなにキスマ……んー…」
その先は知られたくない。
私は慌てて沙希ちゃんの口を塞いだ。
愛「…さっ……沙希ちゃん…ダメ…」
だけど、時すでに遅し。
翔「ん?あぁ、キスマークがどうした?」
愛「…な……な…なんでもないですっ!」
翔「ふーん……まぁ、キスマークくらいじゃ俺、全然堪えねーけどな?そんな沙希みたいなガキじゃあるまいし……ククッ…」
その挑発に怒りを覚えた沙希ちゃん。
私の手を振り払いマットから飛び降りたと思うと、翔先輩に凄い勢いで向かっていった。
沙「じゃぁ、何だったら翔先輩は堪えるんですかっ!」
今にも翔先輩の胸ぐらを掴みかかりそうなくらいの目で沙希ちゃんは先輩を睨みつける。
そんな沙希ちゃんを面白そうに翔先輩はニヤニヤと見ながら、
翔「そうだな……」
直後、翔先輩はその視線を私に移して、
翔「例えば……押し倒されて?無理矢理キスを奪われたとか…?失神するくらい激しいキスをされたとか…?」
それは以前、先輩が私にしたことのある行為を意味していた。
翔「…やっぱそれくらいしたら堪える……よなぁ?」
!!!
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