予兆

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沙「水月先輩?…それって…?」 愛「…きゃっ…」 翔先輩は私を自分の方へと引き寄せると、沙希ちゃんに見せつけるようにして、 翔「また俺がイロイロ教えてやろうか?」 誤解を招くようなそのセリフに沙希ちゃんは驚きを隠せない表情。 愛「…ちょ…せ…先輩……何言ってるんですか!やめてください!冗談ばっかり!」 翔「なんだよ。俺とおまえの仲を沙希に教えてやってるだけじゃん?」 沙「…仲って……え……先輩達…まさか…」 愛「…ち…ち…違うって沙希ちゃん!」 そんな焦る私を面白がる先輩は更に事をエスカレートしていき、 翔「そうだっけなぁ……俺は……感触残ってんだけど?」 そう言って舌なめずりしながらニヤニヤと私を見つめた。 沙「…ホント……なんですか?」 信じられないと言った顔で私を見つめる沙希ちゃん。 事実が含まれているからどう否定すればいいのか分からない私は戸惑っていた。 すると、ようやく翔先輩が、 翔「ハハッ…冗談だって。沙希、おまえ真面目に取り過ぎ!けど、ホントおまえって何も知らねーヤツみたいだな。あ?何なら俺が教えてやってもいいけど?まぁ、そこに『愛』は全くねーけどな?」 そういうと、沙希ちゃんに妖しい笑みを浮かべながら近づこうとする。 翔「沙希はどんな味するのかなぁ……ククッ…」 沙「…けっ結構ですっ!水月先輩!私、ちょっと部室行ってきますっ!」 さすがの沙希ちゃんも翔先輩のその攻撃に耐えられなくなったのか、逃げていってしまった。 そんな走っていく沙希ちゃんの後ろ姿を見ながら、 翔「あーあー……つまんねーヤツだなぁ……」 揶揄いがいがなくなったからか、先輩は面白くなさそうな顔で沙希ちゃんの後ろ姿を見ながら呟いた。 愛「…先輩……ちょっとやり過ぎです。」 翔先輩は沙希ちゃんを見つけるといつも悪戯なことをする。 けど、今日は度が過ぎていた。 翔「別にいいじゃん。ちょっとしたジョークだろ?いつものことだし。まともに受ける方がおかしいって。」 愛「でも、沙希ちゃんはそういうの受け付けないタイプだから…」 沙希ちゃんは基本的に真面目な子。 だから、翔先輩みたいなタイプはきっと存在自体がイラつくのかもしれない。 翔「あいつさぁ、なんつーか男を知らなさそーだし、おまえと同じで揶揄い甲斐あんだよなぁ…」 翔先輩は表向きいつもこんなカンジではある。 でも、根は凄くいい人だということを私は知っているから、できたら沙希ちゃんともうまくやって欲しいと私は思っている。 愛「とにかく、沙希ちゃんをあんな風に揶揄わないでもらえませんか?それにあのコトも沙希ちゃんには…」 もう時効として私は処理をしていたのに、また思い出してしまう。 翔先輩にキスを奪われてしまったあの日のことを―― 翔「…別にいいじゃん。キスくらい……つか、それ以上のこと藤沢とヤッてんだろ?」 !!
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