予兆

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愛「…やだっ…やだっ!絶対にいやっ!」 私はカラダをバタつかして、先輩から逃げようとする。 だれど、マットに沈みこんでしまっていて動こうにもうまく動けない。 翔「大人しくしてねーと藤沢にバレるぞ?」 きっと私が大きな声を出せばその声が届くかもしれない。 だけど、こんな状況を見たらきっと彼は――… 大事な選手権前。 万が一のことがある。 (もし、力がキレて先輩を殴ったりでもしたら?…ダメだ。力は呼べない。) 翔「…どうした?別に藤沢、呼んでもいいんだぞ?」 愛「…先輩……分かっててやってるなんてヒドいよ…」 翔「え?なんのこと?んー…けどまぁ、大丈夫だって。藤沢からはここは見えねーからさ。死角だしさ、たまには違う男の味楽しめよ…」 そう言いながら、先輩は拘束していた私の手首を握りなおす。 翔「さてと……うまそうなウサギちゃん……観念しろ…」 愛「…やだっ……」 体を捩じって必死でもがいても身動きができない。 近づく先輩の顔―― 愛「…やめて…ください…」 避けるように首を振るけれど、止めてくれる気配はない。 翔「動くなって……ん……しゃーねーなぁ…」 そう言うと、今度は抑えていた両手首を私の頭上へともっていき縫い付けて、 翔「大人しくしろって…」 先輩の大きな手が私の腕を拘束した。 翔「…これで身軽になったな……クスッ…」 私の両腕は先輩の左手で拘束され、右手は自由に。 その右手の指を妖しく動かせると、それを私の唇に這わせ、 翔「俺の味……堪能しろよ?」 ゆっくりと近づいてくるその唇。 愛「…ゃ……やめ……」 その時だった。 …ドカッ……
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