予兆

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由「愛に何してんのさっ!!!」 そこには由利ちゃんがいた。 翔「…たーっ…イッテーな……ん?なんだ?…えっ、誰だ?おまえ…」 女好きで有名な先輩と言えども、由利ちゃんのことを知るはずがない。 由「…こっちが聞きたいわよ。なんなの?アンタ!」 そう言って今にも先輩にかかっていきそうな程に怖い形相で由利ちゃんは睨んだ。 由「…愛……もしかして、コイツが例のスパルタ野郎か?」 以前、由利ちゃんには翔先輩の存在を私は伝えていた。 コクリと頷くと由利ちゃんが言った。 由「へ~……確かにイケメンっちゃーイケメンだねぇ。」 翔先輩はこの学校でもトップ3に入るほどモテる人。 こんな田舎の学校にいるとは思えない雰囲気で身長も高いし足も長い。 翔「そりゃ、どうも。ちなみに俺、運動神経かなりいいし、頭もめっちゃいーけど?あぁ、この前の期末は学年二位…」 (が…学年二位!?) 聞いたことはあったけれど、まさか本当とは…… 由「あ…そう。ケド、女の気持ちとか読む才能は全く無さそうだね?そういう模試やったらアンタ最下位じゃない?」 思わず笑ってしまう由利ちゃんの先輩に対するその評価。 さっきまで余裕な顔で笑っていた先輩の表情が一気に変わった。 翔「…おい…愛梨…コイツ、誰だよ?」 愛「…あ…私の友達。幼なじみの由利ちゃん。学校は違うんですけど、今日は坂田先生にお願いして見学を…」 翔「見学?あ?何の見学だよ…おい……」 その時だった。 真「由利!」 真クンが駆けてきた。 由「…あぁ、真。」 私たちのその険悪な雰囲気に気づいた真クン。 真「え?…誰?」 もちろん翔先輩のコトを知らない真クンは先輩をチラッと見て由利ちゃんに問いかける。 由「あぁ……コイツ、スパルタ…だよ、スパルタ!」 真「あ……コイツが例の……」 真クンも翔先輩のコトは由利ちゃんからいろいろ聞いているからかすぐに彼のことは分かったようだ。 翔「…っつーか、『コイツ』扱いかよっ…っていうか、この男だれだよ?」 由「コイツ?あぁ…コイツは私のツレ…」 翔「ツレ……へぇ……世の中には物好きもいんだな?」 真「…なんだよ、コイツ…」 由「だから、例の愛のスパルタコーチだって。ってか、単に女好きのエロ男だわ。」 真「へー……けど、ちょっとイケてね?」 由「あんた、バッカじゃない?なに褒めてんの!」 そんな由利ちゃんと真クンとのやりとりを見ていた翔先輩。 翔「…おー…コワッ……っつーか、愛梨、おまえの連れってどうしてこうクソナマイキなヤツが多いんだよ?」 愛「…ちょ……失礼ですよ!」 翔「え?そうか?俺はいたってフツーだけど?」 由「どーでもいいんだけどさ、あんたさぁ、愛に手ェ出さないでもらえる?」
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