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翔「はぁ?…っつーか、なんでオマエにそんなコト言われねーといけねーんだよ?これは愛梨と俺との問題で…」
由「は?あんた、頭おかしーんじゃないの?」
そして真クンも由利ちゃんに続いて先輩に食ってかかる。
真「…そうだよっ。水月ちゃんはなー、力の子供生むんだよ!」
その真クンの発言に私は冷や汗が出そうになった。
(ちょ…ちょっと……真クンってば…っ…)
翔「…何言ってんだか分かんねー……つか、バッカじゃねーの?」
真「バ…バカって……」
翔「あのさぁ、ジョークなんだよ、ジョーク!あんなコト日常茶飯事だよな?愛梨?」
(ジョーク!?)
さっきまでのあの行為は冗談とは思えない。
それほどリアルに迫られていて私は危険を感じていたというのに。
愛「…ジョークって…」
翔「いつもやってることだろ?そもそも何でこんな外野にケンカ売られなきゃいけねーんだよっ」
愛「…外野って……先輩……そういう言い方……私の大切な友達なんですからっ」
自分のことはとにかく、大事な友達のことを批判なんてされたくない。
しかも、私のことを心配して助けようとしてくれたのに。
翔「へぇー…愛梨の大切な友達か。じゃぁ、俺のコト覚えておいてよ、お二人さん。俺、この学校の三年「河合翔」。趣味は『女を泣かせること』。俺に落ちない女は愛梨くらいじゃねーかな。ちなみに見てのとおり、愛梨とはちょっとした仲。まぁ、近々俺の女になるけどな…クスッ…」
機関銃のようにそう言うと先輩はニヤリと笑った。
真「…おっまえなー!水月ちゃんには力が…」
翔「あ?知るかよ…」
愛「ちょ…先輩、だから私は先輩とは付き合わないって……私には力がいるんです……えっ?」
ふと視界に入ってきた目を疑うようなその光景――
愛「…力……?!」
遠くに離れているから会話は聞こえない。
だけど、どう見ても力が祐の胸ぐらを掴んでいて――
真「…え?あいつら…何やってんだっ!?」
由「ヤバいね…」
私はマットを降りて駆け出した。
由「愛!行くなっ!!!」
由利ちゃんが私を追っかけてきてその足を止めた。
愛「…行かなきゃっ……」
由「…愛っ!あんたが行っても余計に拗れるだけだ!」
愛「だって、止めないと……力が祐を殴ったりでもしたら……」
選手権前のこんな大事な時に問題を起こさせたくなんかない。
あんな風に祐を掴んでいるということはおそらく私のコト。
迷惑なんてかけたくない。
いろんなコトが頭の中を過ぎり、私の胸は押し潰されそうになった。
由「ダメだ。とにかく、あんたは行くな。ん、真!アンタが行ってきて?」
真「ん、任せとけっ!水月ちゃん、心配すんな?大丈夫だって。力もバカじゃねーからさ。あれ以上のコトはしねーと思うよ?ん、行ってくる。」
そう言うと真クンは猛ダッシュで二人のいる方へと駆けていった。
由「心配しなくていいって。力はあんたを悲しませるようなことは絶対にしないからさ。それくらい分別ついてるよ。」
由利ちゃんはそう言うけれど、私はなんだか凄く嫌な予感がしていた。
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