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崎「…力、さっき大泉と何かモメてなかったか?」
戻ってきて早々えらく深刻そうな顔していると思えば、まさか崎田にもさっきの事を見られていたとは――
力「…いや、ちょっとな。あぁ、そうだ。崎田、おまえ今から休憩だろ?終わったらちょっと俺のタイム取ってくんねーか?」
真「えっ? 力、もしかして今から走んのか?」
力「俺、行動力の男だぜ?思い立ったら吉日って言うだろ?」
池川に帰ったら野球三昧の日々が俺を待っている。
池川ではなかなかこんな状態のいい場所で走ることはできない。
だから少しでもできることは今ここでやっておいた方がいいと俺は思った。
崎「え?…それ……どういう?なんで、力が?」
俺の走る理由を全く理解していない崎田は呆気にとられている。
力「詳しいことは後で言うよ。とりあえず、俺、今からアップ行ってくるから。あとで頼むわ。それと、真。悪りぃーんだけど、さっきの事、崎田に大まかにでいいから説明しといてくれ。」
善は急げ。
俺はその場を後にし、トラックへと向かっていった。
トラックへと入り込み、アップし始めると、跳躍の練習をしている場所が視界に入ってくる。
そして、彼女は俺の方を見ているようだ。
(…水月……心配してんだろうなぁ……)
後でどう説明しようか。
しかし、とんでもない事になってしまった。
まさか、俺がまた陸上をするなんて思ってもみなかった。
しかも400をあの祐と――
見た感じ、祐の走りはかなりレベルが上がっている。
担架を切ったものの、この勝負、結構ヤバいというのが本音だ。
だが、やるしかない。
逃げるわけにはいかないんだから――
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