決意

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アップを終え、俺は崎田にタイムをとってもらっていた。 久しぶりに走るということもあり、思ったより体が堪えた。 力「…っ……崎田っ…どうだった?」 崎「…ど…どうだろ……」 崎田の表情を見る限りでは、あまり良いタイムではなさそうだ。 力「…いいからっ……見せてみろって…」 崎田の持っているストップウォッチを俺は取り上げた。 力「うわっ…なんだコレ?中学んトキより悪りーじゃねーかよっ」 勘が戻っていないとはいえ、あまりに酷すぎるタイムに俺は愕然としていた。 真「力……やっぱ、そんな危険な賭けやめとけよ?陸上一本できた祐になんか勝てるわけねーって。」 真はそう言うけれど、俺的には実はこのタイムは想定内。 力「おまえなー、中学んトキの俺、知ってんだろ?俺、一年もかかってないぜ?全国優勝するの…」 崎「確かに。野球辞めて一年経たずの制覇だったもんなぁ…」 俺は中学二年の途中で陸上部に転部した。 そして、それから一年もしないうちに全国優勝を果たした。 崎「まぁ、力なら今からでも間に合うんじゃないかな。」 とはいえ、中学の野球と高校の野球とでは格が違う。 しかも甲子園出場で有名な池川の野球部の練習は中学の時とは比べものにもならない。 トレーニングもハンパないし、陸上に回す体力まであるだろうか。 力「まぁ、何とかなるよ。っつーか、何とかするって。」 真「そうだよな。水月ちゃんの為だもんな?」 ジジイ達同士の昔の約束の為に水月の人生を無茶苦茶にするなんて真似させるわけにはいかない。 つーか、祐になんか水月を渡したくない。 水月の傍にいるのはこの俺だ。 崎「力、GW明けてからの大泉の行動は俺がちゃんと見てるから。とにかく力はこの夏を何とかしてこいよ?」 崎田のその言葉が凄く有難く心強い。 力「……崎田……悪りーな。マジ助かる…」 真「そうだよ。400のことはさ、それからじゃないと無理だって…」 真の言うとおり、一気に両方して共倒れになるのだけは避けたい。 (まずは選手権優勝だな……) そこへ練習を終えた祐がやってきた。 祐「さっそく、タイムとってたんだ?」
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