決意

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愛「…力?」 俺は水月のその言葉が嬉し過ぎて抱き締めずにはいられなかった。 愛「ど…どうしたの?」 力「…いや……なんか……めちゃくちゃ嬉しかったからさ…」 水月がそんな風に俺との将来を一瞬でも考えてくれたのが俺はたまらなく嬉しかった。 力「そうだよな。同じ大学ってのもいいよなっ。そしたら、一緒に住むか?」 俺は更に話を飛躍させていく。 愛「えぇっ!一緒に!?」 力「なんだよ……嫌なのかよ?」 愛「嫌…っていうか…」 力「…ん?」 愛「その…えっちなことばっかり……しないよね?」 まさか、それが心配で躊躇っていたとは。 けど、そればかりは保証ができそうもない。 彼女がすぐ傍でその笑顔を俺に向けてくれたら……やっぱり手を出したくなるのが男ってもんだ。 力「それは分かんねーけど……」 愛「…分かんないって…」 力「じゃぁ、少しだけ……な?」 彼女に引かれたくなくて俺はとりあえず控えめに言ってみる。 愛「…少しって……じゃぁ、やっぱり……するの?」 (やっぱり…って……っつーか、俺とヤるの嫌なのかよ…) 力「じゃぁ、しねーよ……」 言いたくないけど、こうでも言わないと納得しないのならと半ば投げやりな気持ちでそのセリフを放った。 愛「…えっ……しないの…?」 一瞬、残念そうな声に聞こえたのは俺の願望だろうか。 俺はそっと彼女を腕の中から出した。 そして、視線を交わわせ、彼女を見据え、 力「…なぁ……俺と…したくねーの?」 瞬時に彼女の顔が真っ赤に染まった。 愛「…ぁ…えっと……」 ストレートに聞いたその俺のセリフに彼女は羞恥の顔を見せた。 その顔が俺を刺激する。 力「俺は…おまえとしてーよ……ん?ダメか?」 そう言って彼女を覗き込むと、思いの外、彼女から信じられない言葉が返ってきた。 愛「…いいよ。じゃぁ……ちょっとだけなら…」 俺を見るその恥じらう顔がたまらなく可愛い。 俺は言葉を発するのも忘れ、彼女を見入っていた。 愛「…そ…そんなに見ないでよぉ…恥ずかしい…」 卒業して、同じ大学にでも入れたら、俺は毎日コイツの傍にいられて、毎日あんなことやそんなことができて―― 力「ん、その日を楽しみにしてる…」 愛「…うん…っ…」 その俺に向けられたその極上の笑顔――― 俺の傍でずっとそういう顔でいさせてやりたい。 二人の幸せなその未来を勝ち取る為に、俺は祐とのその決戦に向けて、新たなる一歩を踏み出そうとしていた。
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