甘いキス

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力「水月、お疲れ。今日はこのくらいで上がろうぜ?」 練習を終えた私の元にやってきた力。 力「せっかくのGWだってのに部活ばっかでおまえもつまんねーだろ?ん、今日は帰ってゆっくりしてさ、明日はどっか出掛けるか?」 そうは言ってくれるものの、崎田クンとの約束があるのに私が彼を独占なんてできっこない。 愛「ううん。力が一緒にいるから部活でもいいよ。それに崎田クンの400も見てあげないといけないんでしょ?」 力「いや、崎田は明日は来れねーってさ。」 愛「あ……そうなんだ。でも、力、野球のトレーニングもあるし…」 力は選手権優勝を目指している。 本当はGW中も部での練習があった。 だけど、それを監督さんに特別許可をもらって帰省している。 なのに、トレーニングもせずに私と遊んでいたりしたら監督さんに申し訳ない。 力「トレーニングも大事だけどさ。俺はおまえと二人の時間がもっと欲しい。ほら、明後日の夕方には俺、向こうに帰らねーといけねーからさ。」 (え?!明後日?) 愛「もう帰っちゃうの?」 力「おいおい……だいぶ経ったぞ?」 いつの間にか彼と過ごす時間が無くなってきていることに気づいた私。 また彼と離れることを思うと淋しさを感じ思わず溜息をついてしまった。 力「だからさ、明日は二人でデートらしいことしようぜ?」 愛「いいの?」 力「当たり前だろ?水月はどこ行きたい?」 愛「えっ…えっ…でも、いきなり言われてもいっぱいあり過ぎて…」 遊園地、動物園、水族館…… 普通に腕組んで散歩とかでも全然いい。 力と一緒ならどこへ行ったってきっと楽しい。 力「もしかして滅茶苦茶迷ってたりする?」 愛「うん。」 力「水月……たぶんおまえの思ってるところ、一日では全部は廻れねーぞ?」 (分かってる…分かってるけど、最初のデートだから凄く迷ってしまうよ…) 力「これからひとつずつ行けばいいんだから。ん、俺達これからもずっと一緒なんだしさ。なっ?焦らなくていいから、今一番気になるところにしろって。」 彼とこれからも一緒にいられる。 だったら、彼と一緒に行ってみたかったあの場所―― 愛「うんっ!じゃぁ、水族館!」 力「お…いいね。よしっ!わかったっ!じゃぁ、その為にも今日は早めにヤッて寝ねーとな?…ハハッ…」 自然な流れで言った彼の言葉。 でも、よく考えみたらとんでもないことをサラリと言っているような気がする。 (早めにヤッて……って…) 力「あれ?今晩もいいって言わなかったっけ?…クスッ…」 そう言って意味深な顔をしながら力はクイッと私の顎を持ち上げた。 力「…いい…よな?」 もうすぐ彼と離れなければならないこの状況下で嫌だなんて言えるわけがない。 彼とのえっちは嫌じゃない。 でも、凄く激しくて体力がついていかない。 (…私のカラダ……もつのかなぁ…) そこへ真クンと由利ちゃんがいつの間にかやってきていた。 由「出掛けるんだったら今晩はやめときなって……愛のカラダはあんたとは違うんだよ?」 力「…おまえら……聞いてたのかよ…」 真「聞いちゃったぁー!明日水族館だって?俺達もついていこっかなぁー」 真クンはニヤニヤしながら力の腕を肘で突く。 力「頼む…明日は二人っきりにしてくれ…」 真「いいじゃん。混ぜてくれよ?っつーか、おまえら、GW中ずっと一緒にいるのに、まだデートとか言ってんの?贅沢じゃね?」 力「うっせーなっ。俺だって水月と高校生らしいデートとかもしてーんだよ。」 高校生らしいデート。 彼と付き合い始めてそういったデートは初めて。 一緒にいて引っ付いていられるのもいいけど、えっちばかりっていうのは不健全な気もする。 由「へー…そうなんだ?高校生らしい…ねぇ。けど、あんたは愛にエロいコトしてるのが一番幸せなんじゃないの?」 力「西野……おまえというヤツはまた…っ…」 更に由利ちゃんは力を挑発していく。 由「今度は水族館で何やろーと企んでんだよ?…ったく、まぁ、どこに行ってもあんたはエロいことしか考えてないんだろうけどさ。」 力「…なっ…なんも企んでねーよっ!」 由「どうだか。」 力「…と……とにかく明日は水族館に行こうぜ?」 そういうと力は着替えの為に部室の方へ駆けて行った。 真「じゃぁ、俺らも明日一緒に水族館な。いいよな?由利!?」 由「えー…ガラじゃないだろっ。それに私、興味ないんだよね。行くなら一人で行けば?」 真「…ゆ…由利ぃ……」
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