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その瞬間、私のカラダが壊れるほどの衝撃が走った。
祐「もう言うな……頼むから…」
抱き締める祐の腕が私を締め付ける。
愛「…痛い…よ……」
背中越しの彼の方を向くと視線が交わった。
切なさそうに見つめるその瞳に一瞬にして捕らわれた私は次の瞬間、彼に唇を奪われた。
愛「……っ……ゃ……んっ……」
そして、一瞬、唇を離したかと思うと、私を見据え、
祐「…そんなチカラじゃ俺には敵わないよ?」
愛「…ん……ゃ…ハァ…ぁ…力っ…ん…ん……つと…ぁ……」
息を継ぐ度に何度も私は彼の名前を呼んだ。
祐「…愛梨の口から一番聞きたくない名前だよ……それ……」
祐の顔はまた『男』に豹変していた。
愛「…ゆ…う……」
祐「あんまり力の名前言ってると、俺……もっと愛梨をめちゃくちゃにするかも…」
私の好きだった祐はそこにはいなかった。
愛「…そんなの……そんなの祐じゃないよ。私が好きだった祐じゃない…」
私の好きな祐はこんな強引な祐じゃなかった。
愛「もっと優しかった……王子様みたいに……いつも穏やかで……スカイブルーの空と白馬が似合う……」
祐「…愛梨、俺は王子様なんかじゃない。フツーの『男』だよ?分かってんの?あまり刺激するようなこと言ってると、本当にヒドいことするかもしれないよ?」
その瞬間、またキスを奪われる。
愛「…ん…ゃ……」
これ以上、祐の怖い姿なんて見たくなかった。
私は祐にされるがままそのキスを受け入れた。
祐「…やっと受け入れてくれた……チュッ…」
激しかったはずのそのキスが次第に優しいキスに変わっていく―――
愛「…ぁ……ん……っ……ぁ…ぁ……」
チョコレートの甘さが残るそのキス――
(祐のことをずっと好きでいられたら良かったのに……あの日がなければ、このキスだってこんなにツラくなかったのに……)
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