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唇が離れると祐は私の唇をなぞりながら私を覗き込んだ。
祐「…柔らかい……愛梨はやっぱり女の子だね……」
そこにはさっきとは別人のように微笑む王子様のような祐がいた。
愛「…も…ゃ……祐……キスしたら離してくれるって言ったよね?もう終わり……だよね?」
早く終わって欲しかった。
この場から逃げ出したくて、彼の元へ行きたくて――
力が心配してる……
祐「…けど、離したら力のところに行くんだよね?」
愛「…祐……」
祐が悲しそうに私を見つめている。
(そんな顔しないで……そんな目で私を見ないで……お願い…だから…っ…)
祐「今日も……するの?」
突然の質問に私は胸が苦しくなった。
(こんなことになって私は彼と……?)
愛「ゆ…祐には……祐には関係ない……」
待ち受けるその現実に私は震えそうになった。
祐「…もう…力と……させたくない……」
祐にその手を引っ張られて、私はまたその腕の中に閉じ込められた。
愛「…ゃ…離して……帰る…」
祐「だって……このまま帰したら今日も力と……するんだろ?」
もう、できないかもしれない。
だからといってこのままここにいたら……
愛「…じゃ、しないっ……だから帰して…っ…」
どんなことになろうとも私は帰らなければならない。
力への想いは変わっていないのだから。
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