安堵

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力「で、試合は見に来れそうか?いきなりで悪りーんだけど、今週の土曜なんだわ…」 愛「うん。行くっ!絶対に行くよっ」 力「部活は大丈夫なのか?」 愛「あ…うん。大丈夫。もう休むって言っちゃった。あっ!そうそう!中学の時の後輩が入ったんだよ?」 力「…もしかして…えっと…沙希ってヤツ?」 愛「あたりっ!」 力「良かったなっ?」 愛「うんっ」 私たちは懐かしい日々を語り合う。 力「じゃぁ、土曜、待ってるからな?」 愛「うん。じゃぁまた……えっと……力、大好きだよ…」 いつものように自分の気持ちを伝える私。 力「…いや…だから…そういうことフツーに言うなって……なんかおまえ反則だわ…」 その上ずる言葉から彼が電話の向こうで照れているのが想像できた。 愛「だって本当のことだから……えっと……力は言ってくれないの?」 そう言うと力は一瞬間はあったものの真剣な声で、 力「…ああ……俺もおまえのこと好きだ…」 その低い声に私の心が高鳴る。 それは幸せな瞬間で、更にその幸せを感じたくなった私は少しだけ悪戯をしてみる。 愛「え?誰のことが好きなの?」 力「…っ…お…おま……あのなぁ…」 愛「…ちゃんと言ってくれなきゃわかんないよ…」 すると力は諦めたように、 力「…み…水月が…好きだ!!」 更に私は彼にいじわるをし続ける。 愛「私のお兄ちゃんも『水月』だよ?お兄ちゃんのコトが好きなの?」 力「おまえなー…洋太さんのワケねーだろっ!?ったく、面倒くせぇ…」 そう言うけれど、次の瞬間、彼はちゃんと言ってくれた。 力「愛梨が好きだっ!これでいいんだろっ?」 愛「よくできましたー…クスクスッ…」 力「おまえ……今度会ったら覚えてろよ?」 愛「…クスクス……じゃぁ、スタンドでね?」 つきあってることがバレちゃダメだから今度の試合も離れた場所でしか会えない私達。 だから私は余裕だった。 仕返しなんてきっとできないんだって…… だけど週末……そんな私の予想は見事に崩されていくのであった。
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