止められない気持ち

7/8
前へ
/605ページ
次へ
その瞬間、祐の腕がそっと私の背中を囲った。 (えっ……) 目の前には悪戯に微笑む祐があった。 祐「かわいいキスだね……けど俺はこんなキスが欲しいんじゃないんだけどね…」 愛「…こんな…って……」 祐「分かってるよね?」 突如、祐が私の口の中へ指を入れて舌を刺激する。 愛「…ぁ……ぅ……」 祐「こーれっ……」 (これ……って……舌を使うの?) 祐「…愛梨からしてよ?」 愛「…そんなの…っ…」 自分から舌を使って祐にキスなんてそんなことできるはずがなかった。 愛「…無理……だよ…」 祐「じゃぁ、俺は愛梨のことは諦められない…」 そう言って祐は困ったように笑った。 祐「……諦められると思ったのにな……残念…ん、でもまだ愛梨を好きでいていいんだよね?」 誰かを好きになることを止める権利なんて誰にもない。 でも、受け止められないのなら、その想いは断ち切ってもらわなければいけないのだろうか。 祐の望むそのキスをすれば、全てが終わる。 それなら私は…… 私は意を決して祐の顔を見据えた。 愛「わかった…するから……だから…」 祐の想いを断ち切らせる為には仕方のないことだからと私は自分に言い聞かせた。 祐「…いつしてくれるのかな?」 愛「…目…閉じて…くれない?」 祐「なんで?」 愛「その……恥ずかしいから…」 祐「いいよ…」 祐は優しく微笑むと、私の肩に手を置いて私がキスしやすい位置に腰を屈めてくれた。 そして、私は一息呑むと、彼の唇に自分の唇を重ねた。
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加