発覚

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GW中だというのに俺は部活の為に学校へ来ていた。 そもそも俺のやる跳躍など休み中に練習したところで意味を成さない。 無駄な時間を費やすくらいなら必要最低限のトレーニングを家でした方がよほど効率が良い。 だが、部活は俺にとったら、今もっとも楽しいと思える場所。 愛梨と会える――… あいつには彼氏がいる。 遠距離恋愛中の彼女は、その彼氏がGWに帰ってくることを心待ちにしていた。 しかも、学校内まで連れ込むという異例も異例。 顧問の坂田を絡めてうまくやってのけるとか。 はっきり言ってあり得ない。 藤沢力――…… 隣県の名門野球部のある高校に通っているという。 俺から見たら野球部の彼氏なんてどれだけダサいヤツかと思っていた。 そんなヤツが昨年のGWに初めて俺たちの学校へ顔を出した。 そして俺はその容姿に驚いた。 俺が思っていた像とは全く違っていた。 愛梨が惚れても仕方がないのかもしれない。 同じ跳躍の後輩、沙希の話によると、中学の時もかなり人気があったらしい。 そんな藤沢だが、他の女に目がいくことなど一切なく、愛梨以外の女は全然寄せつけなかったとか。 身長は180cmは超えているだろうか。 そして鍛えられ締まった筋肉。 男でも惚れてしまいそうなそのカラダつき。 愛梨もそんなに身長が低い方ではないが、ヤツが愛梨を抱きしめると、彼女はスッポリと隠れてしまう。 藤沢は元陸上部で、中学の時にたった一年、いや、半年で全国を制したバケモノでも有名だ。 そんなヤツが甲子園を目指す為に入った池川学院。 一年でいきなりスタメンとして甲子園に出場。 そして、その初甲子園であり得ないことをやってのけた。 9回裏の最終回――… さよならホームランでチームに貢献した。 しかし、池川はその年の三年生メンバーはハズレだったのか、三回戦で敗退。 そんな藤沢はこの春行われた選抜優勝校との練習試合でなんとピッチャーとして登板。 完封勝利で初勝利を飾った。 そして今、この夏の甲子園を沸かせてくれそうな強者ということで、マスコミを騒がせている。 池川は野球部だけが有名というわけではない。 偏差値もかなり高い私立難関校と言われている。 そんな県外の私立高校に入る枠はまた狭く、そこへ入り込んだ藤沢はやはり凄いヤツなのだと思う。
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