発覚

4/9
前へ
/605ページ
次へ
愛梨と藤沢が部室を去った後、俺は大泉を追い自転車置き場でヤツを掴まえた。 祐「あぁ、すみません。急いでいたので…」 その様子はいつもの冷静沈着な姿だった。 (…急ぎ…?何の急ぎだよ…) 翔「それにしても長くねーか?一時間も篭るって、おまえ病院でも行った方がいいんじゃねーのか?」 祐「大丈夫ですよ。もうスッキリしましたから…」 その言葉どおり、大泉の顔は清々しい顔をしていた。 反面、愛梨はあんな表情をしていたというのに。 翔「…スッキリ…か。リベンジでも…してきたか?」 その俺の意味深な言葉に大泉が目を細めた。 祐「…何が言いたいんですか?」 翔「いや……おまえが言ってたセリフをそっくりそのまま返してやろうかと思ってな。」 以前、俺は大泉に言われた。 『愛梨に何かしたら許さない』と。 祐「…そうですか……どうやら先輩にはバレてるみたいですね。」 大泉はあっけなく観念し、それを認めた。 翔「おまえ……愛梨に何やったんだ?」 遠まわしに聞いても拉致があかない。 俺は単刀直入に聞いた。 祐「黙秘権は……ありますか?」 黙秘権。 言えないことがあったというのは間違いないだろう。 翔「まさかと思うが、あいつに何かしてねーだろうな!?」 祐「さぁ…どうでしょうね。」 翔「おまえ……絶対何かやっただろ?」 無表情でしらを切ってはいるけれど、俺には分かった。 絶対に何かある。 祐「まぁ、でも、たとえ俺が愛梨に何かしたとしても誰にも文句は言わせませんよ。」 翔「は?」 意味が分からなかった。 俺に文句を言う権利はないのかもしれない。 だが、愛梨は今、藤沢と付き合っている。 万が一、藤沢の女に手を出したとなるとそのセリフは通用しない。 翔「愛梨は藤沢の女だろ?おまえどういう…」 俺のその言葉を遮るように大泉は驚くべきことを口走った。 祐「先輩……愛梨は俺の『許婚』です…」
/605ページ

最初のコメントを投稿しよう!

69人が本棚に入れています
本棚に追加