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そんなヤツが今日もまた部室に戻ってこない。
そしてまたしても愛梨も行方不明だ。
崎「翔先輩、水月知りませんか?」
翔「さぁ…」
俺は嫌な予感がしていた。
俺が彼女を最後に見たのは練習用のバインダーを持って教官室へ向かった時。
そして、バインダーといえば、大泉もまたそれを持って教官室の方へ向かっているのを見かけていた。
時間差はほぼ無い。
(まさか、また大泉のヤツ……)
俺は崎田や藤沢の目を晦ます為に、いつもとは違うルートで教官室へと向かった。
教官室へ行くと、坂田の机の上にはバインダーが何冊も重ねられてあった。
そのバインダーを俺は上から順に見ていく―――
翔「えっと……倉本…清瀬……大泉……水月……?」
俺の予想通り、やはり二人のバインダーは重ねて置かれていた。
間違いなく近い時間帯にここにきている。
(倉本、清瀬……こいつらはさっき部室から出て帰ってったよな?上にコイツらのバインダーがあるってことは……)
二人が一緒にいる確率はかなり高い。
とりあえず俺は二人を探す為にそこを出ることにした。
(それにしても……誰だよ?こんなにゴミ散らかして…)
教官室内には何故かやたら小さな銀紙が散らばっていた。
翔「あーあー…なんで、こんなに散乱してんだよ…」
俺はそのゴミを拾い上げた。
一瞬、その銀紙からフワッと甘いに匂いがした。
(ん?…チョコ……か?)
翔「ったく、教師っつーのは生徒に菓子は持ってくんなとか言いながら取り上げるくせに自分らは特別かよ…」
俺はそう言いながらその散乱しているチョコの紙を拾い上げ、ゴミ箱へと放りこんだ。
翔「しっかし、ここにもいねーってことはマジであいつら何処行ったんだ?」
とにかく考えられるところは全部回ってみるしかない。
そのチョコレートの包み紙に彼らの行き先が隠されているとも知らず、俺は教官室を出るのだった。
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