発覚

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目の前には…… 大泉と愛梨がキスをしている姿があった―― 翔「…おまえら……何やってんだ……?」 気づいた二人が俺に視線を流した。 愛「…しょ…せんぱ……」 その瞬間、愛梨が大泉の腕の中からストンと落ちた。 ……ガタンッ……… 翔「愛梨っ!」 俺は彼女へと駆け寄った。 彼女は放心状態で腰を抜かしていた。 翔「しっかりしろっ!このバカっ!」 俺は彼女の頬を叩いた。 愛「…い……いたっ……ぁ……せんぱ…」 ようやく現実に引き戻された愛梨。 俺と目があった瞬間、彼女の目から涙がポロポロと溢れ落ちた。 愛「…っ……ぁ……」 俺は彼女を抱きしめた。 翔「…大泉……おまえ…愛梨は藤沢の女だぞ?自分のやってること分かってんのか?」 祐「そんなこと……言われなくても分かってますよ。」 翔「は?だったら何でこんな…」 愛「…せんぱ………つと…むは?」 遮るように愛梨が俺に問いかける。 チカラの入らないその手で俺のジャージの裾を引っ張りながら心配そうな顔で俺の顔を見つめていた。 翔「…心配するな……」 薄暗闇の中、ようやく目が慣れてきた俺は彼女の全体像を捕らえた。 (…こいつ……まさか…) 大泉と何かあったのは髪の乱れ具合や服のよれ方から一目瞭然だ。 愛「……早く……先輩……力……もう少しで離ればなれに……だから……おね…が……」 愛梨が今一番気にしていることを俺はしてやりたかった。 大泉との話は後だ。 翔「…分かった。」 俺は床に崩れ落ちていた彼女を担ぎ上げた。 翔「…大泉……こいつ連れていくわ。それと後で話がある。おまえ、ここで待ってろよ!?。絶対帰んな!!」 俺は外に誰もいないことを確認すると、彼女を抱えてその体育倉庫を出たのだった。
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