陰り

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校舎の方へと続く道を私は崎田と探していた。 由「愛ーっ!!!」 崎「水月ーーー!!」 声を出すことで防げることもあるかもしれない。 まさかとは思うけれど最悪のことを想定しておく必要がある。 どちらと一緒なのか? もしかしたら三人皆一緒なのかもしれない。 けれど、もしも男と女が二人っきりで……っていうことになると、あの二人とならそういうヤバいことになっても不思議じゃない。 もうコドモの頃とは違う。 二人きりになって何もない、そんなコトはあり得ないと思ってかかった方が賢明だろう。 崎「変だな……絶対に変だよ。」 これだけ探して見つからないということは校外に出てしまっているのだろうか。 由「あのさ……翔ってさ……どんなヤツ?」 崎「翔先輩?」 今朝、部活にきた時、やたら大袈裟に愛との仲を私達に見せつけていたアイツ。 けど、愛は別に凄い嫌そうな顔をしていたわけではなかった。 事前にあの翔ってヤツのことを愛から聞いていたから、ひょっとしたらアイツはそんな悪いやつじゃないのかとも思ってはいたのだけど。 崎「そうだなぁ。俺らが入学した当初の先輩は何か荒れてたよ。で、水月にやたら執着しててさ……えらく厳しいなって。けど…今は…なんていうか…いい感じ?」 (は?いい感じって?) 由「なんだ、それ?」 崎「あぁ…誤解するなよ?いい先輩と後輩って意味だよ。だからさ、西野が思ってるような関係にはあの二人は絶対にならないと思うよ。」 由「そっか。じゃ、やっぱアイツはないな…」 崎「んー…俺的にはさ、大泉の方がヤバいと思う…」 (えっ…) 崎田は冷静で人を見る目があると私は思っている。 だから、その言葉はスルーできなかった。 由「ヤバいって……それ、どういう意味?」 崎「あぁ、西野。ちょっと確認したいんだけど、大泉ってさ、水月のこと昔っから好きなんだろ?」 由「あぁ、そうだけど?」 崎「で、水月もまた大泉を好きだったんだよな?」 由「…ん……」 崎「俺、思うんだけど、大泉はさ、水月を無理矢理にでも奪いにかかるんじゃないかなって…」
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