陰り

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崎田の思わぬ言葉に私は驚いた。 由「それはないだろ?」 たとえ、祐が愛に迫ったとしても、愛が嫌がるようなことを祐はしないはずだ。 崎「そうかな。いやけど、俺はそうは思わないんだよ。」 由「どういう……こと?」 崎「俺さ、今、大泉とも水月とも同じクラスなんだけどさ。二人のやりとりを近くで見てて思うんだよ。大泉はさ、西野が思ってる以上に結構強引なんだ。」 信じられなかった。 祐が強引? どちらかと言えばそれは力の方だと私は思っていた。 そりゃ、昨日の話とかいろいろ聞いてたら、祐にもそういうところも多少はあるのかもしれないけど、だからといってそんな無理強いのようなことを祐がするはずがない。 由「そっかなぁ…」 崎「それにさ…さっき、俺聞いたんだけど。水月って大泉の『許婚』って…」 (…えっ?…イイ……ナズケ……?) 耳を疑った。 由「な…んだ…それ?」 (『許婚』って…あれだよな?将来、結婚が決められてる…っていう……あの…) 崎「俺もかなりビックリしたんだけど、それより何より力がめちゃくちゃ動揺したカンジでさ…」 由「っていうか、それっていつの話なんだよ!?」 崎「さっきの話だよ…」 愛と私は幼稚園の頃から一緒だった。 なのに、そんな大事なことを私は聞いたことがない。 由「崎田……愛はこのコト知ってんの?」 崎「それが……力が…水月には言うなって…」 由「は?」 (愛は知らない、そして力はそれを言うなって……一体どうなってんのさ!?) これが真実だとしたら、愛の親はこのことを知っていたということになる。 祐は知っていた。 そして力はさっきそれを知った。 なのに、誰もそれを本人に言おうとしない。 愛は知らないままだなんて――… 由「あのバカっ!」
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