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こんなことってない。
由「…力にちょっと話してくる…」
そう言って私はそこを離れようとした。
……ガシッ………
ところが瞬時に崎田に止められた。
崎「待て、西野っ!あいつにはあいつのやり方ってのがあるんだ。おまえが口出しすることじゃない。」
由「うっせーーー!!!あんた、何黙ってたんだよっ!あいつが……力は……愛のことになると無茶するってあんただって知ってんだろ!?」
崎「…西野……今はそれどころじゃないだろ?今は水月を……力の大事な女を見つけだすのが先決だって!」
冷静に私を宥める崎田の言葉に我に返った私。
……愛………
やっと……やっとあんたは幸せになれると思ってたのに。
力になら安心してあんたを任せられると思ってた。
なのになんで、あんたはまた祐に戻ってしまわなきゃいけないんだよ?
あんたは……もう祐といるべきじゃない。
(絶対に……愛は……祐といる…!)
私はそう確信していた。
私達が校舎の傍にきた時、そこへ翔が駆けてきた。
崎「翔先輩っ!!」
……ドカッ……
私は崎田を押し退け、翔の胸ぐらを掴みかかる。
由「おいっ!…愛はっ!愛はどこだよ!?」
すると翔は私のその掴み上げる手をゆっくりと下ろし、
翔「……大丈夫だ……いる……ちゃんといるから……」
けれど、翔の顔色は悪く、それ以上の言葉が続いて出てこない。
由「…ちょ…あんたっ……何があったんだよ?」
翔のその目はかなり真剣で、あのチャラチャラしていた朝の表情とは全く違うものだった。
翔「…おまえ……ちょっと一緒に来いっ…」
その表情に私は愛に起こったであろう出来事がただならぬことだと察した。
由「…分かった……」
翔「ん。それと崎田、おまえは藤沢に気づかれないようにこいつの男……何だっけな……連れてこい。ここで待ってっから…」
崎田もまたその翔の雰囲気に何かを感じ取ったのだろう。
崎「…はいっ!」
崎田は急いでグラウンドの方へ、そして翔は私を促し愛のいるだろう場所へと走り出した。
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