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もしかしたらとは思っていた事実。
想定内だったからかまだ私は冷静さを保てていた。
翔「体育倉庫でさ、何か音がしてっから気になって入ってみたんだよ。そしたら二人が…」
体育倉庫と言えば、私も真とウロウロしていた時に見かけていた。
そこは比較的校舎に近い場所に位置する。
今日は跳躍用のマットを使用しているということでその倉庫は開けっ放しだった。
昼間だというのにその中は薄暗く、跳躍用のマット以外、何を保管しているのか確認はできなかった。
そのくらい暗い場所―――
そんなところに男と女がいたら間違いなくヤバい雰囲気になりそうだ。
しかも、あの祐と愛なら――…
由「…キス…だけだよな?」
昨日のことがある。
だからキスだけとはいえ、愛にとったらかなりそれは堪えただろう。
でも、もしそれ以上のことがあったとしたら…?
翔「それが分からないんだ。ただ……目の前でキスしてるのは見た。だけどさ、愛梨の服……やけに汚れてるし乱れてんだよ…」
(もしかして……祐のヤツ……)
まさかあの祐が愛に手を出すなんて思ってもみなかった。
崎田が言っていたように祐を甘くみてはいけなかったのかもしれない。
ヤッたかどうかは今はわからない。
けど、服が乱れてたってコトはそういう雰囲気にはなったって事ではないだろうか。
翔「俺、今から大泉と話してくるから。」
由「…え……祐と?」
翔「当然だろ。目撃者だぞ、俺。それにあんな感じだとあいつ、何があったかなんて自分から言わねーかもしんねぇしさ。ん……放っておけねーよ。」
そう言って心配そうな表情を愛梨に向けた。
翔「それと、おまえ、携帯の番号教えておけ。場合によったらおまえの協力が必要になる…」
そういうと、自分の携帯を取り出した。
翔「番号は!?」
強引かつ勝手だが、私は今はこいつに頼るしかないと思った。
由「分かった……0X0-XX……」
翔「とりあえず、藤沢にバレないようにおまえは愛梨を連れて帰ってくれ…っていうか、あいつ、藤沢んちにいるんだよな。まいったな…」
愛梨はGW中ずっと力の家である旅館にいた。
けど、逃げ回っていても、いずれにしたって、力と顔を合わすことになる。
ならばなんとか時間稼ぎをしなければならない。
!
その時、ふと私の頭に浮かんだ考え――
由「…いい方法がある。私に任せておいて。それと、落ち着いたら電話してくれる?」
翔「ん。分かった……」
そして、私たちはお互いにすべき方向へと向かった。
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