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怯えるようなその瞳はやはり祐と何かがあったことを語っているようだ。
由「けどさ、力は明後日にはいなくなっちゃうんだよね?それに明日、水族館に行くって言ってただろ?」
遠距離の二人にとってまともな初めてのデート。
真は一緒に行きたいと言っていたけれど、その大切な日に私はジャマはしたくなく今日はこのまま家に帰ろうと思っていた。
だけど、このままでは――
愛「…デート……行けないよ。それに……力と…今日一緒に寝るのも…なんか…」
愛の目には涙がいっぱい溢れていた。
由「そっか。嫌か。じゃ、私が一緒に寝てあげようか?」
愛「…でも……」
由「大丈夫だよ。愛…何があったか知らないけどさ、もし、力に言えないようなことがあったとしても力はあんたを信じるよ。どんなことがあってもあんたを嫌いにはならないから…断言できる。」
愛「でも……知られたら……甲子園……祐……殴っちゃ…うっ……メイワクにな………心配…かけたくな……ヒック……」
突然、思い出したように感情を露わに泣き崩れる愛にそれは私が思う以上の事があったんだと悟った。
(…祐のヤツ……愛に何やったんだよ…っ……愛をこんな目にして……アイツ……今度会ったらタダじゃ済まさないっ!)
私はこみ上げてくる怒りを必死で抑えながら愛に話しかけた。
由「…大丈夫。力が祐に何かするようなことは絶対にさせないから。私に任せて。ね?約束する。」
私は愛の手をしっかりと握りしめた。
由「とにかく帰ろう。うちに来な?心配いらない。」
後のことはあの翔ってヤツに任せれば大丈夫だ。
力には真がついている。
絶対に大丈夫だ。
私は自分にそう言い聞かせ、愛の手をとった。
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