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愛梨を由利に任せた俺は、崎田たちの待つ場所へと向かっていた。
崎「先輩っ!」
翔「悪りぃ…遅くなった。つか、藤沢は今どこにいるんだ?」
真「力なら部室に。水月ちゃん見つかったけど、由利に怒られてジュース奢らされてるって言っておいたし…」
翔「は?なんだそれ…」
またヘタな理由をもってきたものだ。
崎「で、水月の様子は?」
翔「あぁ…とりあえず大丈夫だ。あの暴力女がついてっから…」
……ピリリリ……ピリリリ……
(携帯の音)
その時、携帯の音が響き渡った。
真「…由利からだ……」
そういって真は急いで携帯に出た。
真「…由利?どうした?…あ…うん……うん…えっ…あ……なるほど……うん
………あ…そうだな……分かった……伝えとく……じゃぁ…」
翔「あの女……何て?」
真「ん、このまま帰るから部室に置いてある水月ちゃんの荷物持って帰ってこいって。それと、先に帰る理由は『女の月のモノがきた』からって力には言っておけってさ…」
翔「…ブハッ……」
俺は思わず噴き出してしまった。
翔「なるほどな。あの暴力女、なかなか機転が利くじゃねーかよ。ジュースとかワケのわからない理由よりなんつーかよっぽどリアルっていうか…」
真「っていうか、翔さん?」
(ん?…翔さんって……あ?俺のこと?)
そんな呼ばれ方をしたことがない俺は思わず拍子抜けした。
(…翔さん…って……しっかし、なんだか恥ずかしい呼ばれ方だなぁ…)
真「俺の女、『暴力女』って名前じゃないんすけど……」
翔「あぁ…えっと…何だっけ?」
真「『由利』です!」
翔「あぁ、由利ね。由利。」
真「っつーか、呼び捨てやめてほしんすけど!?」
翔「あー…じゃぁ……そうだな……由利ちゃん?」
真「…それも…なんか…」
(だったら何て言えばいいんだよ?)
翔「じゃ、由利さん?」
真「…さ…さん!?」
俺たちは一体何の話をしているのだろう。
(…やってらんねぇ……)
そんな俺達のやりとりを一部始終見ていた崎田が、
崎「何さっきからバカ言ってんですか!?早く力のところに戻らないと感づかれますよ?」
(あぁ…そうだったな。今はそれどころじゃない。)
翔「で、崎田はどこまでコイツに説明してんだ?」
崎「大まかなことは説明してますけど?」
崎田のことだからおそらく抜かりなく話しているに違いない。
翔「そっか。で、愛梨なんだけどな…」
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