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俺は崎田たちにその忌まわしき出来事について説明をしていた。
真「じゃぁ、水月ちゃん、もしかしたら祐にヤられたかもしんねーってことかよ?」
翔「いや、それはまだ何も分かってねぇよ。あの暴力女……えっと由利だっけ?アイツが聞き出すんだろうけどな。」
ヤッたかヤッてないかなど、俺たち男どもにそんなことは聞けるはずがない。
しかも、あんな状態の愛梨に―――
崎「水月は大丈夫なんですか?」
翔「そうだな。とりあえず、時間が必要だな。あのまま藤沢のところに返すとちょっとヤバいと俺は思う。だから愛梨は由利に任せたんだよ。」
真「由利なら水月ちゃんのことよく分かっているしな。なんとかしてくれると俺は思う。」
そうだといいのだが。
愛梨のあんな顔、俺は初めて見た。
放心状態で――…
そんな彼女を見た俺もショックだったが、本人はもっとショックだったに違いない。
それなのに、自分のことよりも愛梨は藤沢のことを気にかけていた。
俺は嫌というほど、愛梨が藤沢のことを想っているというのを目の当たりにした。
(今の俺が愛梨にしてやれるとしたら……)
翔「俺、今から大泉と話してくるわ。」
崎「え?大泉と?」
翔「アイツ、待たせてあんだよ。このまま帰すわけにはな。」
何が何でもさっきあったことを俺は大泉から聞きだそうと思っていた。
そしてその真意を。
崎「俺も行きますっ!」
翔「いいって。俺一人の方がやりやすい。いや、待てよ?!…あ……そうだな。ん、やっぱ崎田も来い。それと、おまえ……何て名前だっけ?」
考えみたら、俺はこの暴力女の男の名前を知らなかった。
真「糸崎真です。あれ?言ってなかったっけ?」
翔「あぁ、真って名前だったよな。ん、おまえは藤沢を学校から連れだせ。もちろん、愛梨達と会わさないようにおまえの女と連絡取り合ってな。それと、旅館にはすぐに戻るな。できるだけ時間稼ぎしてくれ。」
おそらく今頃、あの暴力女は愛梨を連れ出している頃だろう。
あんな状態の愛梨だからヘタしたら藤沢達のスピードだとすぐに追いついてしまう。
あんな状態の愛梨を、今、藤沢に見せるわけにはいかない。
真「分かりましたっ。バッティングセンターにでも連れていきます!」
(バッティングセンターか。流れ的には良さそうだな…ちったーコイツも使えるようだな…)
翔「おまえも頭働くじゃねーかよ。」
真「当たり前っすよっ」
(…いや……単なる調子乗りか……)
翔「それと由利には今晩電話かけるから、おまえも動けるようにしておいてくれ。」
真「えぇっ!いつの間に俺の由利の携帯の番号をゲットしたんっすか!?」
真は意味のない怒りと心配を俺に吹っ掛けてくる。
翔「心配すんなよ。俺、あんな暴力女には全然興味ねーからよ…」
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