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俺達は正門側にある1棟の校舎の影からその光景を見ていた。
『…ってんだよっ!』
『……ません……しかし……』
何やら怪しげな黒い車が二台も止まっている。
そして、その付近には黒い服を着たヤバそうなヤツがいる。
(なんだ?アイツら…)
身なりだけ見れば、どこからどうみてもヤクザにしか見えないその連中。
(学校にこんなヤツらがいるとか物騒過ぎやしねぇか…?)
そんな事を思っていたその時だった。
その黒い服をきた連中の真ん中に、見慣れたスカイブルーのジャージを着た男が立っていた。
(…えっ……大泉?)
しかし、どう見てもそのヤクザみたいなヤツの方が大泉に頭を下げているという不思議な光景――
俺達は耳を澄ませてそのやりとりを聞いていた。
祐『…いい加減にしろっ!学校に入ってくんなって言ってただろっ!』
黒服『…しっ…しかし、社長が祐様を……』
(ん?…祐…様?社長?なんだ、それ!?っていうか、なんで大泉がそんな呼ばれ方してんだ?)
崎「…大泉グループだ……」
俺の横で崎田が眉を顰めていた。
(…大泉……グループ!?え?ちょ……あの大泉グループ?)
翔「崎田……アイツ、大泉グループと関係あんのか?」
崎「関係あるもなにも……跡継ぎですよ、アイツ……」
さすがの俺も驚きを隠せない。
(マジかよっ!?あいつ、そんなところのボンだったのか!?)
崎「大泉グループの次期後継者、それが『大泉祐』…あいつらしいですよ。俺も今日、力から聞いて知ったんですけどね。で、水月はその許婚らしくて…」
そういえば、大泉のヤツも許婚がどうとか言っていた。
そういうことか。
だからあんなに強気で俺に食ってかかるように話してたのか。
翔「…崎田、この事、愛梨は知ってんのかよ?」
崎「それが、知らされてないらしくて。しかも力も水月には言うなって…」
!!!
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