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その事実を彼女が知らないとはどういうことなのだろうか。
しかもそれを知った藤沢もそれを本人に隠そうとしている。
意味が全く分からない。
その時また正門の方から騒がしい声が聞こえてくる――…
祐『…後から行く。それと、周辺調べてるみたいだけど、ヘタに動くなって言っておいて?じゃないと、跡なんて継がねーからって祖父さんには伝えておいて!』
黒服『祐様っ!』
大泉はそう黒服連中に言い放つと、校舎の方へと足を向けた。
大泉がこっちにやってきている。
(やばっ…)
俺と崎田は急いで近くにあった物置の陰に隠れた。
息を潜めて俺達は大泉が校舎を通り過ぎるのを待つ――…
そして、頃合いを見計らってそこを動こうとした。
その時、
祐「…何してるんですか?」
大泉が俺達のいた倉庫のすぐ傍で壁にもたれかけ、俺たちに鋭い視線を向けた。
崎「…大…泉…っ……!」
まさかバレているとは思いもしなかった。
翔「おっまえ…よく分かったな…」
祐「…まぁ……ん、これでも俺、大泉の血引いてますからね。こういう殺気っていうか、気配とか感じるのに長けてるんですよ。」
大泉グループって言ったら、ちょっとした闇の世界にも手を出してるって噂もある。
それを思うと妙に俺は納得してしまった。
翔「なるほどな。ん、しっかし、おまえが『大泉グループ』の後継者だったとはなぁ…」
祐「あれ?言いませんでしたっけ?。まぁ、いいですけど。いずれバレることですし。」
いずれ……まぁ、そりゃバレるだろうよ。
あんなヤツらが学校の廻りウロウロしてたら。
翔「で、あの黒服連中は何しに学校まで車乗りつけてたんだ?」
休日だとしても部に来ている生徒もいる。
いくらなんでも学校にあんな連中が入り込むとか不審過ぎる。
祐「だから文句言ってやったんですよ。まぁ、用事が用事だったから仕方ないっていえばそれまでなんですけどね。」
崎「用事って……何なんだ?」
すると大泉は溜息を洩らしながら遠くを見て――…
祐「…祖父さんが早く許婚連れてこいってさ…」
翔「許婚…って愛梨をか!?」
崎「おまえ……」
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