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大泉のその一言からやはり愛梨が婚約者であるということは間違いなさそうだ。
祐「…連れてなんか行けませんよ。まだ愛梨は俺に振り向いてくれてませんからね…」
その言葉に俺は安心した。
連れていけないということは、大泉もまた彼女の意思を今は尊重しているということなのだろう。
しかし、彼女の意思を尊重するならなぜさっきのようなことをしていたのだろうか。
翔「…大泉……おまえ…さっきのことだけど。倉庫で…愛梨に何やったんだ?」
祐「何って……先輩は見ていたはずですけど?」
全く動じないその大泉の表情――
翔「おまえさぁ、キスだけで愛梨があんな風になるか?あのさ、今ここで言うようなことじゃねーかもしんねーけど、俺もアイツにキスしたことあるけど、どんなに激しくたってあんな状態にフツーなんねーだろ?」
俺は愛梨が入学してきた当初、かなり荒れていて、生意気だった彼女を黙らせる為、その度、彼女に強引なキスをしていた。
だが、キスの直後、愛梨があんな風に長い間放心状態になったことはない。
祐「じゃぁ、俺の方がキスが上手だったって事ですよね?」
そう言って大泉はクスッと笑った。
(……コイツ……てか、面白過ぎるじゃねーかよ……)
翔「…言ってくれんなぁ……おまえ。けどな、悪りぃけど、女数は負けてねーと思うけど?」
経験だけは俺の方が絶対に上だという自信がある。
たかが一人くらいの女をそこまでにしたとはいえ、俺だってそれなりに……
崎「…先輩……そんなこと、今競ってる場合じゃないと思うんですけど!」
崎田にそう言われ俺は我に返った。
(そうだった……そんなことどうでもいい!今は…!)
翔「つーか、愛梨の服が酷い状態だったんだけど?あれは一体どういうことなんだよ!?」
愛梨の服――…
ジャージの上にもその中のシャツもやたら汚れていた。
しかも、今日のあのウサギのような可愛らしい頭はライオンのような激しいパンクヤロー的な頭になっていて――…
翔「…おまえ……まさかとは思うけど……あいつを……抱いたのか?」
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