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思い切った俺のその質問に崎田の顔が強張った。
だが、大泉は顔色一つ変えることなくしれっと答えた。
祐「…抱いていませんよ…」
翔「本当……なのか?」
祐「まぁ…ギリギリで止めましたけどね……」
俺が思っていたとおり、やはりキスだけじゃなかった。
だから愛梨はあんな風に放心状態だったのか。
崎「…大泉…おまえ…っ…」
崎田の顔は怒りに満ちていた。
祐「…崎田……俺たち婚約してんだ。だから、俺が愛梨をもし抱いていたとしても問題はないと思うけど?」
その言葉に俺の中で何かが弾けた。
崎「…先輩っ!?」
俺は大泉の胸倉を掴み上げた。
翔「おまえなー…それはおまえの言い分であって、愛梨は何も知らねーだろっ!ギリギリって……そんな無理矢理っ……」
そんな俺の手を掴み返した大泉。
考えられないような凄いチカラで俺の手を離していく――
(……コイツ……見かけに寄らず、握力がある!?)
その時だった。
どこにいたのだろうか。
あの怪しい黒服連中が俺たちを取り囲んだ。
黒服「祐様っ!」
黒服連中の数名が大泉のガードに入ると、側様、残りの数人の黒服達が俺に襲いかかってこようとする。
祐「やめろっ!手を出すな!…おまえらっ!…まだいたのか!?」
大泉がその黒服連中に怒鳴りあげると、ヤツらは俺に手をかけようとしていたその手をすぐに引っ込めた。
黒服「しかしっ…」
祐「煩いっ!!おまえらこれ以上ここで騒ぎたてるとただじゃ済まさないぞ!…帰れっ!!」
見たこともないような大泉の形相に俺と崎田は唖然としていた。
黒服連中は去っていった━━…
翔「…へぇ……おまえ、スゲーなぁ……」
大泉グループの後継者の姿を見た俺はこんな時だというのに妙に感心してしまった。
(つか、こいつ……マジで権力持ってんな…)
祐「…っていうか、学校まで入ってくること自体が非常識なんですよ。あれだけ言ってんのにまだ分からないのか……」
大泉は去っていく黒服たちを見ながらため息を洩らした。
俺はこの時思った。
もしかすると、こいつはこの大泉グループに嫌気がさしているのではと。
翔「おまえさー……ホントは大泉グループの跡取りなんかになりたくねーんじゃねーの?」
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