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俺は昨年の夏祭りの時、酔って寝ているあいつに欲情して勢いで抱こうした。
しかし、大泉と同じでやはり抱けなかった。
酔い潰れているにも関わらず、藤沢の名前を切なさそうに呼ぶ彼女を目の当たりにして、俺はそれ以上彼女に触れられなくなった。
翔「そうだな。俺だってあいつを抱きたいし、自分のものにしたい。それは認める。けど、あいつのあんな強い想いを傍で見てたらどうしようもねーだろ?」
そんな俺を崎田が驚いたように見ていた。
崎田もまさか俺がここまでマジに愛梨に入れ込んでると思っていなかったようだ。
崎「…先輩……水月のこと…?」
翔「今さら何言ってんだ?」
(…ホント情けねぇ。この俺があんなガキみたいな女にあれ以来、冗談以外では近づけねーんだから…)
翔「崎田、一応言っておくけど。俺はもう愛梨を無理矢理、藤沢から奪おうとか思ってねーからさ…」
この際だし、崎田には俺の気持ちを知っておいてもらおうと思った。
翔「崎田、俺は愛梨が好きだ。けど、藤沢の傍にいる笑っているあいつが好きなんだよ。だからおまえが心配するようなことはこれからも一切するつもりはないから…」
そういうと崎田も安心したのか、
崎「そうなんですか。俺、誤解していたかも……けど安心しました。」
翔「けど、藤沢が愛梨を泣かすようなことをしたら、また話は別だけどな。」
崎「なっ…何なんですか、それ! 先輩っ!?」
当然のことだ。
翔「俺は藤沢の女である愛梨に惚れたんだっての。それに藤沢がいなくなったら遠慮なんかしなくていーってもんだろ?」
そういうと崎田は、
崎「けど、先輩、それはないと思いますよ?力は大泉と走るんですから…」
(何?走る?)
翔「なんだ、それ?」
崎「さっき、大泉、あの全国を制した力に400の勝負を吹っ掛けたんですよ。インターハイで負かすって。で、負けたら水月から手を引けって…」
(な…っ…どういうことだ?インターハイって…?)
翔「…おま……藤沢は野球やってんじゃねーかよ?そんなコトできるわけねーだろ!?」
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