詮索

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藤沢は選手権優勝を狙ってるほどのヤツ。 プロの球団からのスカウトがきたって不思議じゃないほどの野球センスを持っているのは誰が見ても分かる。 そんなあいつを大泉は陸上に戻すというのか。 翔「おまえ、冗談もいい加減にしろよ?藤沢の人生を狂わす気かよ!」 将来が決まるかもしれないこんな大事な時に何を考えているのだろうか。 祐「嫌ならやらなきゃいい。けど、アイツは俺と闘うって言ってましたから…」 (はぁ?アイツはバカか!?) どうしてそんな悪条件の闘いをするのだろうか。 かなりの危険が伴うと勝負になるのは目に見えて分かりそうなものなのに。 翔「崎田、藤沢はホントにやるって言ってんのか?」 崎「…やるらしいですよ。ただ、向こうの学校に帰ってみないと詳しいことは決められないとか…」 (アイツ、何考えてんだ!?) もうすぐ選手権の予選。 それなのに何を血迷ったようにそんなことを―― 翔「なんで、そんな話になったってんだよ?」 俺は大泉を睨みつける。 すると大泉の口から驚くべき言葉が発せられた。 祐「俺はあいつと闘って勝って愛梨を奪い返すつもりです。けど俺が負けたら、力がもしインターハイで俺を負かすようなことがあれば……俺は愛梨から手を引きます。」 翔「…手を引くって…」 祐「…婚約解消です…」 今まで見たことのないようなその大泉の真剣なまなざし。 その大泉の決意に俺はヤツの相当な思いを感じ取ったのだった。
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