諦めきれない想い

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翔先輩が彼女を連れ去った後、俺は祖父さんの会社の連中がいるだろう、正門へと向かった。 正門に着くと、案の定、大泉家の車が二台停まっているのが見えた。 あれだけ学校には来るなと言っていたのにどうして校内にまで入ってきているのだろうか。 祖父さんもやたら心配性だ。 もうすぐ行われるだろう後継者の発表を前に、俺にボディガードをつけると最近やたらと煩い。 そんなものが学校にまで入ってこられると俺もいろいろとやりにくいというのに。 しかも、許婚である愛梨に早く会いたいと、最近では『連れてこい』としつこいくらい急かす。 愛梨の両親にはその祖父さん同士の話を何年か前にもっていったらしいが、 『そんな昔の話は願い下げだ』 『愛梨を大泉に嫁がせることは認めない』 と断られたそうだ。 しかし、公的な文書があると、今も尚、その話をもっていき交渉し続けているらしい。 そんな祖父さんは親友だった愛梨の祖父さんの孫娘に早く会いたいと、最近では学校にまで手を伸ばしてきていた。 愛梨の周辺事情までも調べているようで、俺はそのことに腹を立てていた。 いい加減にして欲しい。 俺は俺なりのやり方で愛梨を大泉グループの後継者である俺の元に連れてくると言っているのに。 『…いい加減にしろっ!学校に入ってくんなって言ってただろっ!』 急用だったというが、だからといってこんな公立高校に普通に車を乗りつけられるとかたまったもんじゃない。 車の元へと向かった俺はその連中に校外へ出ていくよう指示をし、その場を去った。
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