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真と連携して力をうまく撒いた私は愛を自宅へ連れてきていた。
由「ここ、座ってな?」
そう言って私はまだ放心状態の愛をベッドに座らせた。
由「ちょっと待ってて?」
とにかく愛を落ち着かせないといけない。
一息つく為に私は台所へ飲み物をとりに向かった。
(それにしても……マズいな……)
さっき真からメールがあった。
今、真は時間稼ぎの為に動いてくれているのだけど、あまりにも長い時間引き留めているということもあり、さすがに力も何かを感じ取ったらしい。
まぁ、あのおバカな真が力をうまく誤魔化すったって限度があるコトくらい理解ってたつもりだけど。
しかし今、愛と話ができたところで、あの様子じゃぁ、今日、力のところへ返せるのかも正直難しい。
それでも私は愛を何とかしないといけない。
私は冷蔵庫からペットボトル二本を取り出すと、愛のいる自分の部屋へと向かった。
少し開けっ放しにしていたその部屋のドアの隙間から愛が見えた。
愛はさっきと同じで全く動いていない様子。
その瞳はあまり瞬きすることもなく、そして手はぎゅっと握り締め、ただ一点を見つめているだけだ。
(…愛……)
一体、祐との間に何があったのだろうか。
その服の汚れと乱れから、祐との間にただならぬことがあったのは明白だ。
(あの祐が……愛に無理矢理……?まさか…そんなコト…)
もしそういった事実があったとしたら、相当、彼女はショックを受けているはず。
もう既に過去のこととはいえ、あれだけ長い間、愛は祐のことを好きだったのだから。
最悪な事態も覚悟をしておかなければならない。
私は息をのんで、彼女のいる部屋へと足を踏み入れた――
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