想うがゆえに…

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由「愛ー?お茶でも飲もうよ?ノド渇いただろ?」 平静を装って私は持ってきたそのペットボトルを愛に差し出した。 ゆっくりとその視線がそのペットボトルへと動くと愛の体がピクリと動いた。 愛「…ぁ……っ…」 その瞬間、愛の目からポロポロと涙が零れ落ちた。 由「えっ?なんで…?」 ただお茶を差し出しただけだった。 それなのにその反応は一体どういうことなのだろうか。 私はそのペットボトルをいったんテーブルへと置いた。 そして、彼女の横に座ると、彼女にティッシュボックスを渡した。 由「…ほらっ……」 愛「……りが……と……」 愛は私からティッシュボックスを受け取った。 そして一枚取り出すとそれで鼻をかんだ。 ……シューンッッ!!!チーンッ!!! まるで子供のようにかむ姿―― 幼い頃に見たその姿と何も変わっていない。 愛「…ハァ……すっきりしたぁ…」 鼻をかみ終えた愛はちょっとスッキリしたようで、そのまま天井を仰いだ。 愛「…由利ちゃん……ゴメンね。心配……かけて……」 そう言って愛は悲しそうに笑った。 由「…愛……」 この今のなんとも言えない空気をどうにかしたい。 私は愛の手の中のその丸まったティッシュをそっと取り上げると、それをゴミ箱へ投げ入れた。 由「よっし!ナイッシューっ」 愛も大好きだったバスケ。 少しでもそれが愛の元気を引き出してくれるのならと、少し大げさにガッツポーズを決めて私は愛に笑顔を向けた。 愛「うん。ナイッシューだね。」 一瞬は私に笑顔を見せた愛だった。 だが、やはりまた悲しそうな顔に戻ってしまった。 そして、なぜかさっき渡そうとしたペットボトルを見つめていた。
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