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私はずっと愛の幸せを願ってきた。
小さい頃から私を姉のように慕ってきてくれた愛。
その鈍くさかった愛に私は幼稚園の頃に命を救われた。
彼女は自分が足の骨を折ったというのに私の事を心配してくれた。
『由利ちゃんに怪我がなくてよかったよ!だって、由利ちゃん怪我したら私のこと、守れなくなるでしょ?』
あの日から、私は私のやり方で愛をずっと見守ってきた。
そして、いずれ誰かの元に嫁ぐだろうその時まで、彼女が幸せになれるように守ってあげたいって。
私から見ていたら愛はホントに何も知らないし不器用過ぎる子だ。
幸せを手に入れられるはずなのに、知らぬ間に自らその幸せを遠ざけるような真似をしてしまうフシがある。
中学三年の時もそうだった。
彼女は力のことを好きになっていたのに、自分の気持ちを偽った。
私の力に対する想いを大事にしようとして、力から離れようとした。
祐とダメになってから、愛は積極性をも失っていた。
それは恋に対しても例外じゃなかった。
そんな愛だったけど、愛を想う力に支えられて、愛は元々持っていたその積極さを徐々に取り戻しつつあるようだった。
力への想いはもちろんだけど、私や真にもきちんと自分の気持ちを言えるようになっていた。
昔のように素直で快活なあの子に戻ってきたんだなと思っていた。
なのに――…
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