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GWも終わり、俺はまた池川へと戻ってきていた。
ルームメイトの亮がニヤニヤした顔で俺に近寄ってくる。
亮「GWおまえだけ帰省しやがって……ちゃんと自主練やってたのかぁ? …つーか、おまえのことだから、みづきみづきちゃんとエロい自主練ばっかやってたんだろ?」
力「…んなワケねーだろっ」
帰省中、確かに水月とは毎日一緒にいることができた。
だが、俺の中でその休暇の満足感というか達成感というか…それが微妙だ。
亮「なになに?なんかあった?まさか、ケンカでもしちゃったとかぁ?」
いつもなら、そんな亮のふざけたセリフに対して、俺は一発殴っているところ。
だが、今の俺はそんな気にもなれなかった。
そんな俺に亮も物足りなさを感じたのか、
亮「あ…あれ?なーんか、おまえ、ヘンだよなぁ。ていうか、マジで向こうでなんかあった?」
力「…いや……」
亮「そっかぁー?けどさ、おまえ、帰ってきてから溜息ばっかだけど?」
俺はいつの間にそんな溜息をついていたのだろうか。
全く気づいていなかった。
力「え?そう…か?」
そう言って亮を見ると、
亮「…おっ!?しかも、俺と目を合わせてくれたのもこれが初めてだしっ」
(えっ……俺、そんな、コイツを無視してたっけ…?)
力「…悪りぃー……な……」
亮「なんだよ、なんだよー?悩みがあるならこの寮で一番頼りになるセクシーガイな俺に聞かせてみろよ?案外頼りになるかもしんねーぜ?」
そう言って亮は何やら気色の悪いポーズを決めまくる。
(…誰が寮で一番頼りになるセクシーガイだよ…キモ過ぎるだろ…)
亮「聞いてやるぞ…ん?…ん?」
そう言いながら亮は俺に近づくと俺の首に腕を絡めてくる。
力「…いや、マジ、なんもねーから……心配かけて悪りーな…」
スッとその腕を解くと、俺は机の上に置いてあったグローブを持ってその部屋を出た。
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