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水月と両想いになったあの中学の卒業式の日、俺は池川を受験したことを凄く後悔した。
何せあの水月を置いて県外高校へ行くのだから―――
俺の嫌な予想は的中して、水月は高校生になって更にキレイになっていった。
崎田の話では、相変わらず男連中にかなりモテまくっているとか。
俺が同じ学校にいたなら、絶対に守れたようなことだってある。
同じ部の先輩に無理矢理キスされたこともあるらしいし、この前のGWには祐にも――…
しかも、最悪なことに遂に俺はあの祐から宣戦布告を食らった。
更に、水月は祐の許婚だったということが判明して、俺は祐に『寝取った』とまで言わる始末。
祐はGWが明けたら、全力で水月を奪いにかかるとも言っていた。
今日だってもしかしたら祐の手が水月に伸びているかもと思うと俺は居ても立っても居られない。
あんなにGW中、水月を抱いたってのに、離れているということだけで俺の心配は尽きやしない。
力「…監督……俺は野球が好きです。特にピッチャーとして投げてる時は最高に自分らしいっていうか……俺、ここに来て良かったって思います。けど…」
橋本「けど…なんだ?」
力「…俺には……来年はありません…」
俺はこの夏で野球を辞めて、祐と今度こそ決着をつけなければならない。
その為の準備を確実にしておく必要がある。
祐はやはり水月のコトを諦めていなかった。
いや、ずっと水月のコトを忘れたことなどなかった。
アイツにとっても水月は特別で大切な存在。
そんな水月を俺に奪われてアイツが簡単に諦められるはずなんてなかった。
考えてみたら、俺なんかよりも、もっと前からアイツは水月が好きだったんだから。
それでも俺は水月をアイツに渡すわけにはいかない。
アイツは大泉グループという大きな会社の跡取りだという。
そして祖父さん同士で決めたその水月との婚約を破棄したいなら、俺に同じ舞台に上がってこいと挑発してきた。
もし俺が勝てば、アイツは水月を諦めてくれる。
しかし負ければ、俺は水月から手を引かなければならない。
これからもずっと水月が俺の傍で笑っていられことを望むのなら、俺は彼女の為に今は野球を捨てないといけない。
俺はどんなコトがあっても彼女を祐に渡したくない。
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