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監督と話を終えた俺が寮の部屋へ入ろうとすると中から声が聞こえた。
亮が誰かと電話をしているようだ。
俺はそれを尻目に自分の携帯を探し始める。
(あれ?何処に携帯置いたっけ?)
机やらバッグの中を探すがそれをなかなか見つけることができない。
亮のヤツに聞こうにも電話してるし。
俺はまた携帯を探し始めた。
そんな俺の近くで亮は何やらご機嫌な感じで電話をしている。
亮「へー…そうなんだー。こっちではそんなことないんだけどなぁ。」
友達と話をしているのだろうか。
(まったく気楽なもんだなぁ……亮は……つか、俺の携帯……)
今度はベッドの周辺を探すがやはり見つからない。
(おっかしーな……マジでどこいった?)
亮「…もしさー……アイツどダメになっても俺がいるから……え?…まぁまぁ……もしもだよっ……ははっ……」
(…なんつー話してんだよ。っていうか、あれ?相手は……女?)
亮のヤツ、いつの間にそんな電話するような女ができたんだ?
あれだけ女に縁などなかったのに。
とりあえず、話す相手ができただけでも成長したものだ。
心配する必要もなかったな。
その時だった。
ふと見たその亮の手にあるそれが目に入る。
力「…えっ…ちょ……おい!亮っ?それ…」
亮はそんな俺を見ると、しまったという顔をした。
だが尚もまだその会話の主と話を続ける。
亮「…帰ってきたみたいだよ~……うん……心配だったら良かったら俺に電話してきてよ。えっとねー…俺の携帯の番号はねー…」
……バシッ……
亮「いってぇ!…何すんだよ!?」
亮の頭を殴りつけると、俺は亮のもつその携帯を取り上げた。
力「…っ…おっまえなー!人の携帯で誰と話してんだよっ!」
どうりで携帯が見つからないはずだ。
何せ目の前の亮が俺の携帯で電話していたのだから。
(…っつーか、その電話の相手ってまさか…)
俺はそっとその携帯を耳にあててみる。
力「……もしもし?」
愛「…あ……力?」
…あぁ……やっぱり……
水月だったか……
俺は亮を睨みつけながら携帯をもってその場を離れた。
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