彼女のために

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…ガタンッ……ゴトトンッ…… 翔「…ほら…よ!」 自販機から出てきたジュースを俺は愛梨に放った。 愛「え?」 ……パシッ…… 翔「俺のおごり。おまえコレ好きだよな?…ん……有難くいただけよ。」 愛「…えっ?いいんですか?なんか嬉しい。ありがとうございます。じゃぁ……遠慮なく…」 喉が渇いていたのだろうか。 愛梨はそのペットボトルを開けるとすぐさまそれを勢いよく口の中へと流し込んだ。 愛「…ん……おいしーいっ」 見れば既にペットボトルの中の容量は半分ほどになっている!? 翔「っつーか……おまえって……飲みっぷりスゲーなぁ…」 毎度ながらのその愛梨の飲みっぷりは呆れるほど見ていても気持ちがいい。 愛「え?そうですか?だって、冷えてるうちに飲まないと温くなったら美味しくないしー…」 そう言うや否や、またそれをゴクリゴクリと口の中へと流し込む。 翔「おまえさぁ…そういうトコはもうちょっと女らしくしてもいいんじゃね?」 愛「…え?どうしてですか?」 (どうしてって……そりゃ、どう見てもその飲みっぷりは男並みなワケで。俺の知っている女にこんなヤツはまずいない。) 翔「…藤沢にも言われねーか?」 愛「…んー…言われたことあったかな……」 翔「…だろ?だったら……」 愛「でも、最近は何も言わないし……」 藤沢にとって愛梨のそういうところも魅力的なのだろうか。 しかし、普通の男ならちょっと驚くような光景ではある。 翔「まぁ、おまえら二人が気になんねーってんなら俺はいいけどさ…」 そんな俺のぼやきなど聞いているのか聞いていないのか。 愛梨は残りのドリンクを一気に飲み干した。 愛「はぁー…すっきりしたぁ~!ごちそうさまでした、先輩っ」 そして、何をするのかと思えば、今度はゴミ箱目掛けてそのペットボトルを放ろうとしている?! 愛「えいっ!」 彼女はそのペットボトルを約5m先のゴミ箱へと放った。 ……ガッコーンッ…… 狙い通り見事にそのペットボトルはゴミ箱へと吸い込まれた。 愛「やったぁ!ナイッシュー!」 ガッツポーズを決めてひとり喜ぶ愛梨。 そんな彼女を見ながら俺は彼女のその異様な明るさに疑問を抱いていた。
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