彼女のために

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既にGWが明けて一週間以上経とうとしている。 休み明け、初めて愛梨と会った時、彼女はまともに俺と視線を合わせられないほどだった。 俺はあの瞬間の目撃者。 さすがにあの日のコトを思い出してしまったのだろう。 しかし、大泉が学校に来ていないからだろうか。 部活にも出やすいということもあって、彼女は今日も俺といつもどおり跳躍練習をしている。 ただ、このマットを休み明け最初に見た時の彼女の表情は何とも言えなかったが。 それでも、愛梨は後輩の沙希の手前ってのもあるからか、今日も笑顔で何とかそのバーを乗り越えマットにカラダを沈めている。 そんな無理をしているように見える彼女を俺はかなり心配している。 今は大泉がいないから大丈夫だが、アイツが来たら、愛梨はどうなるんだろう。 そんな俺の思いに反して愛梨が言った。 愛「…先輩……私……平気ですから…」 彼女の顔は凛としていた。 翔「平気って……おまえ……」 あの日見た愛梨は本当に痛々しかった。 信じられないその出来事に呆然としていて―― 触れるその体は震えていた。 その状態からかなりショックなコトがあったのだろうと俺は悟った。 その後、張本人の大泉と愛梨の友人の由利からもいろいろと話を聞いたのだが━━   大泉は……ギリギリのところまで愛梨を犯したという。 それなのに愛梨はそれを『自分のせい』だと言い、自分を責めているとか。 しかも、そんな酷いコトをされたというのに、彼女はこれからも大泉を嫌いになれないし向き合うと言っているという。 それほどまでに愛梨にとって大泉という存在は特別な存在だったとは俺は思ってもみなかった。 そして、俺はその愛梨の決意にも驚いていた。
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